第24話
お互いに連絡先を交換すると共にここにきて自己紹介をするという、順番が逆のことをしてしまってお互いに笑ってしまった。いや、プレイヤー名ではしたことになるのだが、いざリアルとなるとやはりという事と、俺だけ相手のリアルネームを知っているというのはフェアじゃないなと思ったからでもある。
「それで、鳴沢さんはどうして私の事を探していたのですか?」
「そうだな、ええと、俺が国の人間ってことは話した通りだ。それで、あのJRSにまた通って欲しいんだ。……簡潔に言うとね」
「それは……強制……なのでしょうか?」
朋絵が俯き加減で呟く。
「それは違うと思う。あくまでこちらの願いだ」
『うーん、ここまで聞いていて、彼女は引きこもり…ではあるけれど生活という面においては自立していると思う。となると、彼女をどう扱うかは難しいところではあるな……』
「そうですか……」
「え?」
「ん?ああ、いやこっちの独り言」
(あぶねぇ、新との会話は朋絵には聞こえないんだったわ)
ついついハイテクすぎて忘れそうになるこのやりとり。別にイヤホンとかインカム的なものはつけていないにもかかわらず、目の前にいない人の声が聞こえるというのはまさしくすごいことになるのであろうが、慣れてしまうとそれが当たり前になってしまい、余計な事をしてしまいそうで怖いなとも思ってしまう。
「と、とりあえず今すぐってわけでもないし、たまにでもいいから考えてくれると嬉しいかな」
「え、ええ……」
俺の提案に曖昧な返事をする朋絵。朋絵にも他の生徒のように何かあの集団に入りたくない事情があるのだろうか……。
「じゃあ、また入るときになったら前日くらいには伝えるようにするよ」
「は、はい。では、また……」
それでログアウトしたのは、夜の事だった。
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