　告げた瞬間の沈黙…。それは一瞬だったとしても巧にとってとてつもなく恥ずかしいことに変わりはない。

「ぷっ、くくくく……」

「ちょ!?　わ、笑わなくてもいいだろ…」

　吹き出してしまった千里のせいで巧の顔は真っ赤になってしまっていた。

　千里は「ごめんごめん」といいながらもツボにはまってしまったのだろう。しまいにはお腹を抱えるようになってしまっていた。

　おそらく、思い出して笑ってを繰り返してしまっている。

　俺は冷めた視線を千里へと送るとようやく笑いが収まる。

「今のは、俺でも自分らしくない言葉だったと思う…。でもその言葉を撤回するつもりはない」

　少し恥ずかしがりながらも、決してひかない視線を千里へと向けて言った。

　千里は少し表情を崩しながらも巧の真剣な目に穏やかな表情を見せ、俺の言葉にゆっくりとうなずいた。

　巧はそんな表情に少し可愛いなと思ってしまた。

　さらには、先ほどまでの千里のイメージががらりと変わった。さっきまではクールに見えた印象もあの笑顔や穏やかに微笑む表情に近づきがたいと思うことはなくなった。

　よく聞いたチャイムの音が聞こえた。

　それを聞いた千里はカバンを持って立ち上がった。

「それじゃ、これで授業は終わりだから」

「え？ホームルームとかないのか？」

「こんな状況ではできないのよ」

　千里は「それじゃ」と言い放ち教室を出て行った。

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