第7話
「うっ⁉︎ ここは……?」
目を開けるとそこには先ほどの灰色の壁などなく、アマゾンの大森林を想像させるような風景が広がっていた。
色とりどりの蝶が舞い、緑多き景色の上に俺は立っていた。
「? これは……」
見た目はアマゾンではあるがやはりここは現実世界とは違うと思い知らされるアイコンが表示された。
目の前に表示されたアイコンの中からステータスというところのボタンを押すと、自身の能力……のようなものが自分の姿と共に表示された。
「うわっ、顔変わってねー」
顔は全く現実の俺と変わらないぼさぼさの黒髪に明らかに覇気のない目つき、それでいて身体には初期装備によくありそうな胸のアーマーと片手剣しか持っていなかった。服もなんだかぼさこい。
能力に目を移すと、筋力、持久力、器用さ、俊敏さ、魔法、運、というような項目で数値化されていたが、全て三十というこれまたなんといっていいか分からないような数値だった。
(おそらくTRPGなら強いのかもしれないが、そうじゃないだろうな……)と大きく肩を落とした。
「んで、これからどうすりゃいいんだ?」
人間らしき人のいない場所で疑問を口にした。我ながら独り言でもいってないと死んでしまいそうだった。
「それは、こちらから説明するよ」
「うお! いきなり現れんなよ……」
目の前にすっと現れたのは一応、新だと思うキャラクターだった。声はたしかに新そのものだが、顔がまるで異なりメガネをかけたれっきとしたインテリに見えた。
服装は白衣ではなく、紺色のマントをつけた魔法師のような格好をしていた。
「で、ここでの目的はっていうか参加するのは確定なのな」
「悪いけど、そういうことになる。君は今から僕が言う目的を果たすまではここから出られないというわけさ。もちろん他の人にはできるはずのログアウトも不可能さ」
自身のアイコンを見る。ログアウトのボタンは存在するが、暗い表示になっており押しても反応してくれなかった。
「くっ!どこまでも……じゃ強制ログアウトはどうだ!!」
俺は自分の片手剣を自身の腹に向け目一杯引いた。
「くぅぅ!」
何か痛みのようなものが走って、苦悶の表情を見せる。しかし、死ぬようなことはない。
「くそ、なんで……」
「そりゃあ、ステータスをよくみてよ。そこに特殊技能、『不死』ってあるでしょ」
よく見たらステータスの端にそのように書いてあった。それを押し、説明を見ると『死なない、いや死ねないと言うべきか……。』というやたら厨二っぽい文字の後に、『HPが999から一時的に減っていくが、放っておくと元に戻りHPがゼロにならない』と書いてあった。
(これ、いわゆるバグじゃん-)
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