第10-5話 再び大樹の水場へ その4

「ルシュっ!!」

俺とテオックが同時に叫ぶ


ルシュと俺達の間は20メートル程は距離が空いている


ラズボードとルシュの間はそれよりも距離が離れているが、走る速さが違いすぎる



見る見る内にラズボードがルシュに迫る



俺は思わず目を閉じた



俺の脳裏には無残にも弾き飛ばされたルシュの光景が浮かんだ




……



………



何だ、何の音もしない?



恐る恐る目を開ける



ルシュは弾き飛ばされる事も無く立っている



ラズボードはその奥、ルシュの目の前で止まっている


あれは……


「ルシュ……?」

思わず声が零れる



隣のテオックも立ち尽くしている



ルシュが右腕を前に出し、ラズボードの額に掌を当てている


良く見るとラズボードは前に進もうとしている様に見える

だが、一歩たりとも前に進めていない




そして




ルシュが右腕を上に上げると、ラズボードの巨体が宙を舞った

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