第10-4話 再び大樹の水場へ その3

まずは俺とルシュはテオックに採取する薬草やハーブの説明を受ける

俺はルシュに付き合っている形だが、久々に大樹の水場に来たので復習も兼ねている


テオックの説明をルシュに訳し、ルシュがそれを聞いてウンウンと頷いている


そこから三人に手分けして作業を開始した


俺は結晶を探しを中心に、途中で薬草を見つけた場合は採取していく事にした

自分では一石二鳥等と思っていたが、どちらかに集中したほうが良い気もする



「ん~無いなあ……」


水場の中を見ているが、結晶が見当たらない

次の水溜りに移動してみるが、こちらにもない


「さっきはすぐに見つかったけど、結晶は結構見つけ辛いんだよなあ」


近くで薬草を採っていたテオックが俺に話す


「そう美味い話ではないって事か~……」


暫く結晶探しに粘った結果、二つ見つける事が出来た


テオックも二つ、ルシュは薬草採取に集中していたので結晶は見つけていない


三人で集まって、成果物を一旦まとめる

ここからはルシュも結晶探しに加わる事になった



ルシュはチュニックの裾を左手で掴み

水場で濡れない様に少し捲り上げて水溜りに入る


最初は水溜りの底をじっと見つめていたが、何かに気づいた様に隣の水溜りに移動する

そしてすぐに水底から結晶を取り出し、そこから大樹の方向を向いたと思えば、

その大樹の木の根の間からもう一つ結晶を取り出す


たった数分の間の出来事だったので俺だけではなくテオックも驚いていた


「すぐ見つけたな、俺なんかより全然早い」

ルシュに声を掛けると


「なんとなく、ある場所が分かる気がする」

とルシュが答える


そこからさっき俺が調べて何も無かった水溜りに移動し、水溜りの底に右手を入れて

暫く水底をさらうように腕を動かし、結晶を取り出す


「結晶の魔力を感じ取れてるのかもな」

テオックが感心しながら言う


ルシュはその後水溜りから出て、森側に歩き始める

離れた所にある木の根に向かっている



そのルシュの姿を見ていると、視界の端に何かが映る


目をこらすと、それは体長2メートルはある巨体の獣だった


「テオック、あれは!」

テオックも俺と同じ方向を見る


「ラズボードか!

くそっ気付かなかった!」


ラズボードの顔には傷跡の様な物がある


ルシュもラズボードの存在に気付き、そちらを見る


ラズボードはルシュの方向を向いており、唸り声をあげている


「ルシュ!こっちにこい!」

俺は叫び、テオックと一緒にルシュに向かって走り出す



それとほぼ同時に、ラズボードがルシュに向かって突進した

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