第10-6話 再び大樹の水場へ その5
ラズボードの体が10メートルは上に飛んだ後、地響きと共に地面に激突する
隣に居たテオックが口をあんぐりと開けた状態になっていたが、
それと同じくらい俺自身もマヌケ面をしていただろう
ラズボードが動き出す様子は無い
暫く呆然と突っ立っていたが、ルシュがこちらを向いた事で我に返る
俺は足早にルシュの元へ駆けつける
「大丈夫かルシュ、怪我はないか?」
「うん、大丈夫だよ、ありがとうヨウヘイ」
ルシュの様子を見るが、本当に何とも無さそうだ
-------------------
「いや~、今日は驚き通しだぞ」
テオックが頭を掻きながら言う
「正直俺も同感だ」
ラズボードの処理を終え、俺とテオックは話をする
ルシュは大樹の根に座り、水場に足を付けパシャパシャと足を動かしている
「これじゃあ魔族じゃ敵わない訳だ」
テオックが呟く
実際、俺自身竜族の話は力が強い、魔力も強いの伝聞だけ、
更にルシュが人畜無害な点もあり、イマイチ懐疑的な所はあった
森で採集を行なっていた時に俺やテオックよりも軽々と物を持ち上げていた事があったくらいだったが
まさかラズボードを片手で投げ飛ばすとは思わなかった
「しかしこの大きさだと運んで戻るのは無理だな」
「運ぶって、ラズボードをどうするんだ?
まさか食えるのか?」
「食えるぞ、ラズボードの肉は滅多に手に入らないから持って帰りたいんだがな。
後は皮も高く売れるぜ。
でも今回はどうしようもないな」
等と俺とテオックが会話していると
「どうしたの?」
とルシュが尋ねてきた
いつの間にか俺達のすぐ傍に来ていたようだ
俺が今の会話をルシュに伝えると
「私は運べるよ?」
と提案してくれた
「でも流石にルシュでもこいつを担いで何時間も歩くのは無理じゃないか?」
俺の言葉を聞いてルシュが両手の拳をぐっと握り締めて胸の前に置く
「大丈夫、任せて!」
と自信満々に告げる
そして次の瞬間、ルシュの身体が光に包まれた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます