白い肌
「さ、汚れちゃったから綺麗にしましょう?少しだけ、我慢してね」
私はできる限り、本当にできる限り優しく、彼女の口元を拭った。彼女が怖がらないように、できるだけ刺激を与えないように。濡れた布の感触にさえ彼女は体を震わせたが、拒むことはしなかった。
「下も汚れちゃったから着替えましょう」
「あ、ぁ」
「大丈夫、全部私がしてあげるわ。貴方はじっとしていて。嫌かもしれないけど、許して頂戴ね」
私は優しく丁寧な手つきで、彼女の衣服を脱がす。すると、彼女の白く美しい肌が露わになった。私はその肌を慈しむように、じっくりと時間をかけて布越しになぞる。汚いと思うことも早く終わらせたいと思うこともなく、むしろいつまでもこうして彼女のために何かをしてあげたいと、切に思った。こうしているだけで、私の中にある何かが満たされていくのを感じた。彼女のためとは言いつつも、もしかしたらこれは、自分自身のためにやっていることなのかもしれない。そんなエゴを抱えながらも、私はただ夢中で彼女の肌に触れる。こんなにも美しい彼女に傷ひとつ付けてはならないと、そう思った。
「・・・・・あら?」
しかしその時、妙な違和感を感じた。いや、違和感とかそんな曖昧なものではなく、明確におかしなことがあると気が付いた。
彼女の右足には大きな傷跡があったはずなのに、それがなかった。数年前に戦いの中でつけた傷で、大きな傷であったから私もよく覚えている。医者からは「この傷跡が消えることはない」と言われていた。だと言うのに、その傷跡がない。これは一体どうしたことだろう。
「シルファ、ここの傷・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・って、そんなことを聞いても分からないわよね。ごめんなさい。すぐに終わらせるわね」
一先ず傷のことは置いておいて、私は彼女の体を綺麗にする。もちろん絨毯を片付けて床も綺麗にした。服も着せてあげて、彼女が落ち着けるよう、彼女自身と彼女の周りを整える。
「さ、終わったわよ、お疲れ様。着替えも済んだことだし、あっちのテーブルで食事にしましょう?床で食べるのもなんだし」
私のその呼びかけに、彼女は答えない。
「貴方の分も用意してもらってあるわ。遠慮しなくていいのよ?それともお腹、空いてない?」
「・・・・・・」
何を言っても、彼女は答えようとしない。しかしちょうどその時、彼女のお腹がぐぅ、と鳴った。口では答えずとも、生理的な部分で彼女が望んでいることを知り、私は思わず笑顔になる。
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