第33話 制裁
事務所の扉を開けロイは中に入る。事務所の中には1人の少年と2人の青年がいた。
「この人達もミクさんに呼ばれたのかな?」
ロイのつぶやきに2人の青年がロイに声をかける。
「えっと、君もミクって人に誘われてここに来たのかい?」
「じゃあやっぱりあの時声をかけられたのは俺らだけじゃなかったんだな。」
「みたいだな。てっきり逆ナンだと思ったのに…」
2人はロイの返事も待たずに勝手に納得して勝手に落ち込んでいた。もう1人の少年はスティアを使って遊んでいる。
「あの、ミクさんはどこに?」
「ん?いや。俺らもわからないんだ。ここに来たのもさっきだし。まだ来てないんじゃないか?」
「まぁまだ時間まで5分くらいあるし。気楽に待とうぜ。」
そうして2人は雑談をしていた。ロイは頭の中で考えを巡らせながら時間を待った。
そして5分後…
「はーい!みんなお待たせ!これで全員かな?」
扉からミクが元気よく現れた。全員と言われても、ロイにはミクが何人に声をかけたのかわからないので判断のしようがない。だがミクは指でロイたちを数え終わった後
「うん。連絡通り、これで全員だね。さて、それじゃあ早速だけど、お互いの名前とオリジンについて教えてもらおうかな。」
「名前?それにオリジンって?」
青年の1人がミクの言葉に頭をかしげている。
「自己紹介だよ。これから仲間になる人に自己紹介は必要でしょ?その自己紹介をしたうえで、君たちに二人一組のパートナーになってもらいます。」
いきなりのミクの発言に2人は困惑している。だがロイはミクの思惑を理解したようで
「つまり、オリジンを倒す部隊を作りたいってことですか?」
ロイの言葉にミクは笑顔になり
「ピンポンピンポーン!大正解!花丸あげちゃう!」
っと手で空に花丸マークを書いていた。だがそんなロイとは裏腹に青年2人は…
「いやちょっと待てよ。パートナーを組むのはいいんだけど、その前にオリジンってなんだよ。」
「なぁ?わけわかんねぇ。」
その言葉にミクは目を細め
「ん~?呼び出したオリジンから聞いてない?スティアから召喚したキャラクターの中で、自我のあるデータをオリジンっていうの。」
だが2人は
「いやスティアからって、俺たちそんなもん持ってないし。」
その言葉を聞いた途端…
「あ?あんたら昨日言ったよな?私に会うためならゲームの1つや2つ買うって。そんときオリジンについても説明したでしょ?なのに、なんでスティアを持ってないの?」
っとミクの態度が急変した。
「い、いやだって。あのゲーム思ったより高かったし、それに声をかけてきたってことは逆ナンのためのお芝居かと思って…」
「日を分けたのも、てっきり恥ずかしいのかと…」
ミクは笑顔だが、逆にその笑顔が恐ろしい。2人もそのこと思っているのか、口調がどこかたどたどしい。
「そう。タイガ。」
「ふぅ。だからお前の作戦は効率が悪いんだ。関係ない奴も引き込むしな。」
そう言って、扉の奥からもう1人の男が現れた。彼は胸元に手を入れると2つの薬を取り出した。
「お、おい。なんだよその薬…」
「ま、まさか俺らに飲ませる気か!?」
タイガと呼ばれた男は2人に近づく。
「く、来るんじゃねぇ!クソ!やってられっか!」
「ああ!早くここから帰…」
「
【あいわかった。】
ミクがスティアに触れると、目の前に編み笠をかぶった男が2人の青年を捕まえた。
「な、なんだよ!こいつ!」
「クソ!離せ!」
2人は暴れるが時貞と呼ばれた男は微動だにしなかった。
やがて2人は薬を飲まされ、意識を失った。
「ありがと。
ミクとタイガは、残ったロイと少年を見定めていた。
「それじゃあ君たちの名前と、オリジンの名前を紹介してくれるかな?」
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