第23話 交渉
公園に旗を掲げるようになってから3日たった。どうやら旗は回収されることなく、そのまま公園に掲げられていた。まぁ何かの邪魔になってるわけでもなく、不快なものでもないのでそのままになっているのだろう。
【こちらとしては好都合だ。このまま反応があるまで待機だ。】
今も俺たちは公園の遊具から様子を見守っている。授業が終わったら公園で待ち構え、日が落ちたら家に帰るというルーチンを繰り返しているんだ。自分で言った作戦だけどさ、なんかこのまま続けるのも飽きてきたし、やっぱり地道に足で探したほうがいいのかな?
【む?おいアスカ。反応があった。】
えっ!?マジ!?ついに来た!?
【学び屋側の入り口の方だ。そこにオリジンがいる。】
俺は入口の方に目を向ける。そこには、細目の男が旗に向かって歩いていた。
「あの男か?オリジン使いは?」
やっぱりノキアの作戦通り、男は旗を注意深そうに眺めていた。よし、あとは話しかけて勝負に持ち込めば…
【待て、アスカ。あの男、この前戦ったときに私達を見ていた男だ。】
「この前?それってあの路地裏でのこと?」
あの戦いも誰かに見られてたのか?
【違う。私が初めてオリジンと戦ったときに手を振っていた男だ。】
ああ、そういえばいたなそんな奴。
【まぁいい。とりあえず話しかけるぞ。】
「ああ。」
俺は旗を注視している男に話しかけた。
「あの、あなたもオリジン使いですか?」
「ん?」
男は俺の言葉に気が付き振り向いてこちらを向いた。男の髪はつんつんしており、触ったら痛そうに見えた。
「ああ、君。この間ここで対戦してたよね?」
「あっはい、そうです。」
あっ、覚えてたんだ。あれから4、5日くらい経ってるのに…
「やっぱり。えっ?もしかして、これ書いたの君?」
そういって男は旗を指さす。
「はい、そうです。」
「ふーん、なるほど。ってことは、君の相方は相手の居場所を特定するスキルを持ってるのかな?」
な、なんでそれを!?俺の驚いた顔を見て男は納得したようにうなずく。
「どうやら当たりみたいだね。ああそうだ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はリク。よろしく。」
「あっどうも。俺はアスカ、こいつはノキアってんだ。よろしくな。」
俺は手で持ってるスティアをリクに見せた。
【ノキアだ。そちらのオリジンは?】
「ああ。えっと、俺のオリジンの名は
れんきか。一体どんな字を書くんだろう?
【レンキ…
ノキアはどんな字か分かったのか?あとで教えてもらおう。
「いや、まぁ。一応鬼だからね。」
「鬼!?」
鬼なんているの!?いやでも確かに説明書にはいろんな種族がいるって書いてあったけど…鬼もいるんだ。
【
リクは「うーん」と何か渋っていたが観念したようにスティアを俺に見せた。そのスティアには、横になって寝ている小さな女の子がいた。えっ?この娘が鬼?女の子はすぅすぅ寝息をたてている。
「えっと、この娘がれんき?」
「…残念ながら。」
「こんな可愛い女の子がオリジンなのに、どこが残念なんだ?」
「…こいつ、昨日の夜に酒を飲みすぎてまだ寝てんだよ。」
えっ?酒?この娘何歳?
「ちなみにこいつは設定上400歳を超えてるらしい。」
400!?
「まぁそんなことは気にするところじゃないよ。僕はちょっと君に用事があってね。」
俺に?なんだろう…そんな俺の不安とは別にノキアは気になったことがあるらしい。それは
【おい、貴様はアスカがここにいるとわかって来たのか?】
あっ、そうか。確かにノキアの言う通りだ。リクはなんで俺がここにいるってわかったんだ?
「別に君自身に用があるわけじゃないんだ。用があるのはオリジン使いだからね。」
オリジン使いに用?一体なんだ?
「実はね、僕と手を組んでほしいんだ。」
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