第22話 作戦

次の日、俺はノキアの言う通りの旗を公園に掲げた。その旗には


『オリジンはこの公園にいる!覚えのあるものは現れてみせろ!』


…いや確かにそう宣言するって言ったけどさ、声に出すのと旗を掲げるだと恥ずかしさが違うな。声なら一瞬で終わるのに、旗だとずっとだもんな。…まぁ、俺たちはその旗を遊具の隙間から見てるんだけど。


「ほんとにうまくいくのか?」


【提案したのはアスカだろう。】


いやそうなんだけどさ。ノキアの立てた作戦は俺の作戦を文字にすることだった。もしオリジン使いがこの旗を見れば様子を見に現れるし、そうすればノキアのスキルが反応する。今旗の周りには複数の人が群がっている。大半が野次馬だろうが、あの中にオリジン使いがいるのか?


【大丈夫だ。たとえ罠だと探る者がいても、向こうもオリジンを倒さなくてはならない。時間がたてば現れるさ。】


ほんとかなぁ?まぁ俺も考えてた作戦だから、気長に待つけどさ。だがそんな心配をよそに、旗の周りには沢山の人が集まってきた。


「おっ。思ったよりもたくさんの人が見てるな。」


【まぁこんな何もない公園にあんな大きな旗が掲げられれば、一般人でも注視する。】


それもそうか。ちなみに旗は近所の雑貨店で買った布と木の棒とマジックで作ったものだ。その大きさ、なんと2メートルちょい。木の棒は150センチの物を用意した。もしかしたら近くのマンションの中からも見えるかも。


「何事もなく現れてくれればいいけど。」


【なるようになれ、だ。】


…前から思ってたけど、ノキアって真面目そうに見えて、結構行き当たりばったりなところがあるよな。っと俺の心配をよそに、旗の周りにまた新たな人が現れた。その人物は…


「警察?」


なんで警察が?


【気づかれたか。アスカ、逃げるぞ。】


え?なんで?警察は近くの人に話を伺っている。あっ、誰かがこっち指差した。あの人はたしか俺たちが旗を設置しているときにいた人だな。ん?警察がこっちに…


【急げ!捕まったら終わりだ!】


えっ?えっ!?いや待って!?なんで!?と、とにかく早くここから離れないと…うわっ!追ってきた!


【路地裏を回り、自宅に向かうんだ!急げ!】


家が近くにある理由ってそういうことか!こういうことなら先に言ってくれ!俺は路地裏を回って家に帰ってきた。


「はぁ、はぁ、はぁ。」


な、なんとか帰ってこれた。追って来てないだろうな?俺は扉の覗き穴から外を見てみる。…どうやら大丈夫みたいだな。あの旗大丈夫かな?もしかしたら回収されてるかも。そんな俺の心配をよそに…


【巻いたか。では次の旗を作ろう。】


…は?


【何を驚いている?この作戦は成功するまでやるぞ?】


…マジで?

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