第21話 探索

家に帰り、着替えを終えて俺はシグナルを散策した。


「うーん。なかなか見つからないな。」


俺はスティアをつけノキアの『第六感だいろっかん』を頼りにオリジンを探している。ノキアがいうにはスキルの使用範囲はみんな同じらしいので、例えノキアみたいなスキルを使うやつがいても、相手が知ってこちらが知らないことはないみたいだ。


【そう焦るな。シグナルはかなり広い。そんな中から何人いるかわからないオリジンを私達は探しているんだ。気楽に…とは言わんが、そう張り切るものでもない。】


別に焦ってはいないけどさ。でも、そっか。よくよく考えればシグナルは20Kmキロメートルもあるんだ。こんな広い都市の中からオリジン使いを探すなんて、なかなか無茶なことしてるんだよな、俺。…あれ?そう考えるとなんか不安になってきた…


「なぁノキア。こんな風に歩いているだけで、ほんとに見つかるのか?もっと大々的に言った方がいいんじゃないか?」


【大々的に言うとは?】


「えーっと。例えば公園とかで俺はオリジンを使ってますよー。とか」


【はぁ。】


むっ。なんでため息吐いてんだよ。いや自分でいうのもなんだがこれはなかなかいい作戦じゃないか?オリジンなんてものを知ってるのはオリジン使いだけだ。それ以外の人が俺の行動を見たところで、きっと可哀そうな目で見られるだけだ!…いやそれはそれで嫌だけど…


【却下に決まっているだろう。私のスキルの強みは。そこに自分から位置を公開する馬鹿がどこにいる。ああ、ここにいたか。】


な、なんだとぅ。だが確かにノキアの言うことは一理ある。くそ。いい案だと思ったのにな。


【いや、待てよ?相使…】


ん?どうしたんだ?急に黙り込んで。ノキアは手を顎に置き思案している。何か思いついたのか?しばらく時間がたったあと…


【アスカ。さっきのお前の作戦。採用だ。】


えっ!?マジ!?なんで!?よくわからないけど、ノキアが俺の作戦を認めてくれた。あれ?なんだろう?目から汗が…


「そんじゃあどこでやる?昨日の公園にするか?」


【そうだな。あそこなら家も遠くないし、逃げるときも苦戦はしない。】


逃げる?相手のオリジンから逃げるってことか?でもゼクスの中で実体化したら、スティアをゼクスから離さないと実体化は解けないぞ?俺に相手から背を向けて逃げろってことか?いろいろ考えたが結局わからなかった。


「まぁいいか。そんじゃ公園に行くか。」


俺が公園に向かって足を進めると


【いや待て。公園はまた後日だ。その前に、アスカには作ってもらいたいものがある。】


「ん?なんだよ。作ってほしい物って。」


【旗だ。】


ノキアはにやりと笑いながらそう言った。

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