第24話 同盟

手を組む?


「どういうことだ?」


「言葉の通りさ。僕と手を組んでほしい。」


【手を組む、と言っているが一体どうするつもりだ?このゲームは1対1の対決だ。確かにゼクトの中ならば複数のオリジンを実体化することはできるだろう。だが。それはそちらもわかっているだろう?】


…俺は今聞いたんだけど。


「まぁそれはそうなんだけど。でも、例えば相手が遠距離タイプのオリジンだった場合、シールドを使えるオリジンがいたらなにかと便利でしょ?」


あっそうか。確かに弓とか銃とか使ってるやつにシールドなんてスキルを使われたら、相手もたまったもんじゃないよな。


「それにオリジンが多ければ、戦い方やスキルの戦術も取りやすくなる。相手との意思疎通とか面倒な部分もあるけど、総合的にはメリットだと思うよ。」


「うーん。どうする?俺はいい考えだと思うけど。」


【…】


ノキアはいろいろ考えているみたいだ。一体なにを考えているんだろう。まっ、俺なんかには到底わからないことだろうけどな。


【貴様の言い分はわかった。だが私は強さこそ真実だと思っているのでな。】


「…僕の話には乗れないってこと?」


【そうじゃないさ。要は『』ってことだろ?】


ん?誰の声だ?その声は、リクの持っているスティアから聞こえてきた。


煉鬼れんき。起きたのか。」


【あんな殺気を向けられたらね。ふぁ~。】


声からして、どうやらあくびをしているみたいだ。


【リク。ゼクト使って。】


「えっ?いや、僕たちは話し合いに来たんだけど…」


【さっき言ったでしょ?一遍いっぺん力の強さをわからせなきゃってさ。】


どうやらレンキさんはやる気満々のようだ。


【ほう、ずいぶんな自信だな。アスカ。こちらも出る。】


ノキアもさっさと出せとこちらを見ている。オッケーノキア!俺はゼクト起動ボタンを押すぜ!光とともに、ノキアは姿を現した。


「ああもう。どうしてこうなっちゃうかな。」


リクはがっくり項垂れながらも、レンキを実体化させた。


【よしよし。いい子だ。あとであたしの酒をやろう。】


「いらないよ…」


彼女は大笑いして手元の瓢箪ひょうたんを口に運んだ。あれってもしかしてお酒?


【さて、名乗りがまだだったね。あたしは煉鬼れんき。あんたは?】


【ノキアだ。いざ尋常に…勝負!】


言葉とともにノキアはレンキに向かっていった。だがレンキは…


【あっはっは。元気いいね。】


そういって、ノキアの攻撃をくるくる回りながら躱している。くっそ!どうして当たらないんだ!


煉鬼れんき。貴様、戦う気があるのか?】


【ん~?ないよ。そもそもあたし達は話し合いに来たんだって。わざわざ戦う理由なんてないってば。】


レンキはなおも笑いながらお酒を飲んでいる。自分から実体化を望んだのに、戦う気はないってどういうことだ?俺もノキアもいぶかしんだが、向こうが戦う姿勢を見せないので遂にノキアは武器をしまい


【はぁ、わかった。話を聞こう。で、どのような話だ?】


そう言ってレンキに近づいた。俺もノキアに続いて近づいていた。すると


【はい。王手。】


【なっ!?】


があり、その剣をノキアの首元に近づけていた。


「ノ、ノキア!」


一体あの武器はどこから!?いやそれよりも、あの娘は話し合いに来たんじゃないのか!?ま、まさか…


【くっ!私達を騙した…ということか。】


や、やっぱりそうなのか?くっ!俺が不甲斐ないばっかりに…ノキア!


【ふふふ。騙される方が悪い…痛った。】


え?なんだ?レンキはパートナーのリクに頭を叩かれていた。


【痛った~。なにすんの、リク。】


「なにすんのじゃないでしょ。せっかく上手く話し合いの場ができそうだったのに、なんでそれを壊すのかな。」


【だって、あたしは鬼だもん。のはしょうがないじゃん?】


ど、どういうことだ?仲間割れ?


「ほら。早く剣をしまって。」


【いけず~。】


そう言って。え?いやあれどこから出したんだ?


「ふぅ。いやほんと驚かしてごめん。こいつには後できちんと言っておくからさ。…えっとそれで、どうだろう?」


え?どうだろうってなにが?


【…いいだろう。詳しい話を聞こう。】


「ありがとう!いやーほんとよかった。僕たちはオリジンを探すスキルとかないからね。君たちが仲間に加わってくれれば他のオリジンも探しやすくなるよ。」


あっそっか。仲間になる話か。そういやノキアが戦わないとわからないとかいって戦おうとしてたんだった。


【私達は仲間になるとは言っていない。いうなれば、同盟だ。】


同盟…たしかお互い目指すものがあるけど、そのためには大きな障害があるから、それをなくすまでは手を貸すって意味だったかな?


「同盟…ね。まぁ確かにそうだね。それじゃあ改めて、同盟決定ってことで。」


【よろしくね~。】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る