第19話 放課後
キーンコーンカーンコーン
「起立!礼!」
「やっと授業が終わったよ。あー疲れた。」
まぁ俺3時間しか受けてないけど…
「そうだアスカ。アサギ先生が呼んでたぞ。早く職員室に行ってやれ。」
そういやスティアを取られたまんまだったな。さっさと取りにいこ。
「あっアスカ。俺駐輪場で待ってるから。早くこいよー。」
ロイは自転車で
「オッケー。すぐ行く。」
俺はロイにそう言って職員室に向かった。
「失礼しまーす。」
俺は職員室の扉を開けて中に入った。アサギ先生を探してきょろきょろしていると…
「よっ。ほっ。」
先生は机の上で俺のスティアで遊んでいた。いや何してんだよ。いや何してんだよ!
「先生。何してんですか?」
「おっ来たか。もうちょっとでクリアするから待ってろ。」
「いやそれ俺のゲームなんですけど!?」
「没収した以上取り返しに来るまでは俺の物だ。」
取り返しに来てるんだけど!?こんな性格でどうやって教員免許取ったの?ワイロ?
「おっクリア。よし。なかなか面白かったぞ。これしばらく貸してくんない?」
「買ったばかりですよ!?貸すわけないじゃないですか!」
「冗談だよ。冗談に決まってるだろう。」
ほんとだろうな?
「ほれ、次からは出せって言われても出すなよ。」
「わかってますよ。次からはそう言われても出さないようにします。」
「ほんとは持ってこないのが一番だけどな。教師の前だけでもルールは守れよ。」
…まぁいい人なんだよな。
「はい。ありがとうございます。じゃあ。」
「おう。気を付けて帰れよ。」
俺は礼をして職員室を後にする。このまま駐輪場に行くんだけど、その前にスティアに電源を入れる。
「ノキア。おはよう。」
【もう夕方だがな。どうやら学校は終わったみたいだな。】
そうだけど、なんで知ってるんだ?あっもしかして、さっき先生が遊んでたからか?
「そういやさ、気になったことがあるんだけど、オリジンのことは他の人にも話してもいいの?」
【問題はない。話されたところで、その相手がオリジンを手に入れる可能性は低いからな。】
あっそうなの?ってことは、8時間で手に入れた俺ってなかなか運がいいのか?
【それに、最初に言ったが他の者はオリジンとイミテーションの違いはわからない。先ほどの教師も私のことを自我がある存在だと思ってないみたいだからな。】
そんなもんか。
【とはいえだ。おいそれと話すようなことでもない。疑われない限りは隠していこう。】
んー、まぁいいか。そもそも、ゲームのキャラに自我があるなんて言っても、普通信じられないからな。
【それより、授業が終わったのなら探索に行こう。いま近くにはオリジンはいないからな。見つかるまで探せ。】
見つかるまで探せって、結構キツイこと言ってんな。
「あっそうだ。そのことも聞きたいんだった。ノキアのスキルはオリジンの居場所がわかるんだろ?でも似たようなスキルを使うやつがいたらこっちの居場所もバレるじゃん?そういう場合はどうすんだ?」
【ああ、そういえば言ってなかったな。私のスキルは半径200メートルくらいまでしか届かない。だからそれ以上の距離のオリジンは居場所がわからない。】
「へー。ってことは、他のオリジンも似たような感じ?」
【恐らくは。】
なるほど。それならお互いが同じ位置を察知できるってわけね。
「あっごめん。もしかしたら今日は探しに行けないかも。」
【何?どういうことだ?】
「今日友達と帰る約束しててさ、もしかしたらそのまま遊ぶかもしれない。」
大丈夫かな?ノキアの性格からすると、スゲー怒りそうな気がする。だがノキアの返事は予想外のもので…
【…まぁいいだろう。】
あれ?もっと怒るかと思ったけど…
「いいのか?もしかしたら、そいつもスティアを触るかもしれないけど…」
【かまわん。友は大事にすべきだ。】
もしかしたら、ノキアも昔の仲間のことを思い出してるのかな。そんなことを思いつつ、俺は駐輪場に向かった。
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