第11話 騙し討ち

「さぁ、楽しもうじゃないか。煙幕スモーク。」


【ケケケ。】


ガイの言葉の後ナイスの体からは煙が出てきた。


【アスカ!保護プロテクトだ!】


「わかった!保護プロテクト!」


で、保護プロテクトって何?


「安心しろよ。煙幕スモークは状態異常を起こすわけじゃない。ただの煙さ。」


あっ状態異常を防ぐ効果があるのね。ノキアの体が薄っすら光ってるのはそれでか?


【ケケケ。人の一番の死角はどこかわかるか?】


煙の中でナイスがしゃべりかけてきた。一体どこにいるんだ?


【答えは…ここだ!】


そう言ってナイスは両手に鍵爪を装備して、ノキアの頭上から攻撃してきた。いつの間にあんな装備を!?


【ケケケ!終わりだ!】


だがノキアはその攻撃を読んでいたらしく…


【ふん!】


手にした両手剣でナイスを弾いた。


【ケケケ!?なんだと!?】


ナイスはバランスを崩し、地面に倒れ伏せた。よし!あとは剣を突きつければ俺たちの勝ちだ!だがガイは焦った様子もなく…


「やるねぇー。さすが騎士様だ。」


【…】


ノキアはガイの言葉に目を細めたが、そのままナイスに向かって剣を突きつけた。


【どうする?まだやるか?】


「当然だろ?交代スイッチ。」


【なっ!?】


その瞬間、ノキアとナイスの居場所が変わった。えっ!?そんなスキルもあんの!?ナイスは倒れ伏しているノキアに爪を突きつけた。


【ケケケ。形勢逆転だな。】


「さぁ。どうする?」


くっ。まさかそんなスキルがあるなんて…。しょうがない、ここは相手が上手だったってことだな。


「わかった。降参だ。まいった。」


【…】


ノキアも剣を地面に置いた。やっぱこのゲーム、慣れてる人のが強いんだな。だがガイは


「そうかい。そんじゃナイス。そいつを消せ。」


んな!?


「ど、どういうことだよ!負けを認めたら相手を消さないって約束じゃ!」


「あはは。馬鹿だなお前。そんな約束、守るわけがないだろう。」


な、なんだと!?こいつ、まさか初めからそのつもりで!?


【下衆め。】


「負け犬の遠吠えだ。ナイス。消せ。」


「ノ、ノキアー!」


【アスカ。無敵インビシブルだ。】


え?なんだって?


【ケケケ。消えちまいなー!】


【アスカ!】


「イ、無敵インビシブル!」


直後、ノキアは金色に光りナイスの攻撃を弾いた。


【ケケケ!?】


「なに!?」


【おおおおおおおおお!】


攻撃を弾かれ、動揺したナイスの胸にノキアは剣を突き刺した。


【ケケケケケケ!?】


叫び声の後、ナイスは姿を消した。か、勝った、のか?


「ちっ。あそこまでお膳立てして負けんのかよ。やっぱ空を飛べるだけじゃダメだな。」


そう言ってガイはここから立ち去ろうとしていた。


【待て。貴様、さっきのはどういうつもりだ?】


あっめっちゃ怒ってる。でもそれは俺も同感だ。


「そうだ!負けたら消さないって約束だったのに、なんで攻撃を仕掛けた!」


だがガイは焦った様子もなく、むしろ余裕たっぷりに


「おいおいおい何を怒ってるんだよ?騙す、不意を突くは戦いの常識だぜ?よく言うだろ?騙される方が悪いんだよ。」


こ、この野郎!ぜってぇ許さねぇ!ぶん殴ってやる!だが俺のパンチは華麗に躱され、逆に腹を殴られた。


「うぐっ!」


【アスカ!くっ、貴様!】


「おっと、そんな目で見るなよ。先に手を出したのはそっちだぜ?最も、オリジンは俺を攻撃することはできないんだがな。」


くそう、くそう。俺がもっと強ければ…


「じゃあな。」


ガイはそう言って俺たちの前から立ち去った。


【…アスカ。早く帰るぞ。】


「くそ!わかってるよ。」


なんだかむしゃくしゃしながらも、俺たちは路地裏を後にした。

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