第2話 チュートリアルを始めよう
【…というわけだ。理解できたか?】
なんで上から目線なんだよ。確かに教わるってる身だけれども…。とりあえず、このゲームの説明と進め方をノキアに教えてもらった。そう、教えてもらったんだが…
「結局のところ、俺がノキアを動かして、適格なところでスキルを使って進めるんだろ?」
そう。ノキアの説明は、俺がスティアをタップしてノキアを動かし、敵に近づけて攻撃させて、ノキアをタップすればスキルが使えるという、子供でもわかるような説明だった。
【うむ。その通りだ。意外と物分かりは良いのだな。】
ノキアは少し誇らしげに俺を見た。しかし、ノキアの言った説明は、全て説明書に書いてあった。…もしかして、説明書を読んでないと思われてんのか?確かに最後までは読んでないけど…。でもそんなのわかんなくても、なんか適当に押してれば分かることだし。もっといえば、ノキアは俺に召喚されたわけで…
【ん?どうした?何か分からないことがあったか?】
「いや、そうじゃないんだけど…。なぁ、ノキアを呼び出したのは俺で、つまりは俺が主人ってことだろ?なら、もっとこう…なぁ?」
そんな俺の発言に、ノキアは目を細めながら
【イミテーションの私ならば忠誠を誓っただろう。だが私はオリジンだ。そして、お前が私を召喚できたのは、ただ運がよかっただけだ。私を従えたければ、まずはお前の力を見せてみろ。】
くそ、なんて奴だ。可愛いくねーやつだな。…いや、よく見ると見た目はそうでもないか?顔は整ってるし。身長は多分俺と同じくらいだと思うから、170センチくらいか?まぁ比べる相手がいないからわからないけども…。髪も綺麗な銀色だし。あれ?そういえば自我があるってことは、それって普通の女の子と変わらないんじゃないか?え?なんだこれ?なんかドキドキしてきたぞ。お、落ち着け。動揺するな。
「ち、力を見せるって、ど、どういうことだよ。」
やべっ!どもっちまった!お、落ち着け!こんな時は…そうだ!素数を数えて…素数…素…
【ふむ、そうだな。まずはお前の指揮を私に見せてくれ。…おい、聞いているのか?】
…はっ!?俺はいったい何を!?えーと、いまノキアはなんて言ってた?しきがどうこうって言ってたような…。しき……式…?あっ指揮か!えっ?指揮?
「えっと…具体的にどうすればいいの?」
【…………】
やめて!かわいそうな人を見る目をしないで!
【はぁ。とりあえず、このゲームを進めてくれればいい。今回はお前の指示に従う。】
ため息とともにノキアは俺に告げた。前言撤回。やっぱ可愛くないわ。
「今回はって、それじゃあまるでノキアは自分で動けるみたいじゃないか。」
【そうだが?】
えっ!?
【何を驚いている?先ほども言ったように、私達オリジンは自我を持っている。自我があるのだから、自分の考えで行動するのは当然だろう?】
当然なのか?でも…そっか。自分の意志で動けるなら、わざわざ命令されて動く必要はないのか。
「あ、そっか。それで今回は俺が動かして、俺の実力を図ろうってわけね。」
【そういうことだ。ほら。ちょうどチュートリアルのステージが用意されている。お前の力を、私に見せてみろ。】
そう言って、ノキアの指さした画面には『チュートリアル』と書かれたボタンが点滅している。よっしゃ。サクッと終わらして、俺の実力を見せてやるぜ!
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