第1話 パートナー
それから8時間後…
【…ようこそ!スティアへ!このゲームはキャラクターを鍛え、あなたと一緒に冒険をしていくRPG《ロールプレイングゲーム》となっています!早速ですが、まずはあなたのパートナーとなる者を召喚してください!】
ポチ。
【…お前が私のパートナーか?ふんっ、しょうもない顔つきをしているな。まぁいい。ノキアだ。精々、頑張るんだな。】
あー、お姉さん系タイプか。あんまり好きじゃないなぁ。次いくか。そういや腹も減ってきたな、後でなんか買ってくるか。そうして電源ボタンを押して、リセマラを再開しはじめた。だが…
【…ふん。早速電源を切るとはな。私では不服か?】
…は?え…なにこれ?
もう一度電源を落とし、起動してみる。だが画面に映ったのは先ほどの女性のままだった。しかも腕組みしてこっち睨んでるし…
【はぁ…なんど電源を落としても無駄だ。もうキャラクターを変更することはできない。】
え…いやちょっと待って。え?…てっいうか…
「あーと、もしかして、俺に話しかけてる?」
ありえない。いくら科学の発展した時代といえども、ゲームのキャラと会話できるなんて、そんな馬鹿なことが…
【当然だ。ここには私とお前の2人しかいないだろう?】
あったー!え?いやいや待て待て落ち着け。まだ慌てるような時間じゃない。いや慌てる時間なんかないんだけど。あれ?何言ってんだ俺?いったん整理しよう。額に汗をかきつつ、ここまであった情報をまとめてみた。
まず俺はゲームを買った。うん。
そしてリセマラを始めた。うん。
そしてリセマラ中に画面に出た女性が俺に話しかけてきた。うん?
「いや、やっぱりおかしいでしょ!」
そう画面の女性に叫びかけるが彼女は怪訝な顔をして
【まったくうるさい小僧だな。少しは静かにしろ。】
と怒られてしまった。え?俺が悪いの?…まぁ叫んだのは確かに悪いか。反省。
【まったく。まぁいい、説明してやる。先ほども言ったが、私の名前はノキア。グランソンというところで作られた、自我を持ったプログラムだ。】
呆れた顔をしながら彼女は話してくれた。グランソン。それはシグナルとゼクトを作り上げた会社の名前だ。っていうか今、自我を持ったプログラムって言った?
「そ、それって、このゲームに出てくるキャラクターは全員自我があるってこと!?」
それなら俺が来てほしかったあの7番の娘も自我があるってことか!?だが画面の女性はため息を吐きながら。
【あってはいるが、間違ってもいる。自我のあるキャラクターはオリジンと呼ばれており、それ以外のキャラクターはイミテーションと呼ばれている。イミテーションはどれだけいるかわからんが、オリジンは1人しかいない。お前はその1人を引いたということだ。光栄に思うがいい。】
…何言ってんだこの
【…つまり、私はオリジンで私以外のキャラクターはイミテーションということだ。いや、この説明も正しくはないな。なんと言えばいいだろうか…。】
彼女はどうにか説明しようとしているがうまく言葉にできないみたいだ。まぁ、俺が理解すればいいだけなんだけど…。悪かったな、頭悪くて。
【ふむ、物に例えれば分かりやすいか?例えば、1つの紙をコピーしするとしよう。コピーには原本が必要だろう?その原本がオリジンで、コピーした紙がイミテーションということだ。そしてその紙が私達ということだ。】
あー、なるほどそういうことか。つまり俺は、300人の内の1人の、更に数100分の1を引いたってことね。つまり確率にすると…えーと…いくつだ?…まぁいいか。細かいことは。
「つまり、俺はその数少ない確率の中の1人に選ばれたってことね。」
【そういうことになるな。致し方ないが…】
致し方ないって…。
「一体何が不満なんだよ…。こっちもあんたを出したかったわけじゃないんだよ。」
そんな俺の文句に彼女はまたもため息を吐きながら…
【まぁ、仕方あるまい。文句を言ったところで使い手が変わるわけでもない。それはそちらも同じだ。】
そういえば電源を落としたのに、ノキアは消えずにスティアに残ったままだった。これはつまり、オリジンを召喚した人はキャラを変えれないってことなのか?ていうか、なんでこんなの作ったんだよ。
「えーと、ノキアさん?はどうして自分が作られたのか分かる?」
そんな俺の質問に
【ノキアでいい。それとその質問の答えは、私にもわからない。答えを期待するな。】
とぶっきらぼうに答えた。なんだよ、わかんねーのかよ。
【そんなことより、お前。名前はなんだ。】
「え?名前?」
そういや、名乗ってかったっけ?
「俺の名前はヤマト・アスカだ。よろしくな。」
【うむ。で、だ。アスカ。まずはこのゲームのやり方を説明しよう。まだこのゲームに関して何も知らないだろう?】
呼び捨てかよ。まぁいいけど。そういやまだチュートリアルもはじめてないな。
「じゃあその辺りを詳しく教えてくれ。」
そうして俺は、このゲームの説明をノキアから教わるのだった。
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