第10話
剛くんからのメールを冴子に「キモい」と言われて私の体からスーッと力が抜けていった。
意気消沈とはこういう感じなんだろうか。
「まさか2人とも面白いとか思ってる?」
「冴子さ、そんな言い方ないじゃん?とこちゃんせっかく嬉しそうだったのに。」
きょんちゃんはちょっと怒った感じで冴子にそう言った。
「んー、ごめん、でも、実は佐藤(御手洗)とは同中だったんだよね。中学時代、結構よくない噂を聞いてた。」
「あ、そうだったんだ。...よくない噂ってなに?」
私はパンドラの箱を開ける心構えで恐る恐る冴子に聞いた。
「あいつに泣かされた女の子が結構いるってこと。」
「え~~~、そうなんだ。結構モテるんだね。てっきり私、冴子となんかあるんじゃないかと思った。」
「なんで、私が?」
「昨日も御手洗くんの話をしてた時、無反応だったし、今日ももしかしたら一緒に登校してるんじゃないかと思って。」
「昨日はところが佐藤の毒牙に落ちるのではないかと心配だったし、今日は寝坊して朝、遅くなっただけだよ。」
「そうだね。でも心配しないで冴子。私は親切にしてもらったお礼をするだけだから。それは当たり前のことでしょ?御手洗くんとどうこうなりたいってわけじゃないよ。」
「うん、それならいいや。ところにはあたしのお眼鏡にかなったやつじゃないと交際は認めん!」
「あははは。」
私は剛くんに対して結構、その気だった。
でも親友の冴子がそういうなら多分そうなんだろう。
芽生えた小さな恋心がしぼんでいくのを感じた。
「で、ところなんか佐藤に渡すの?」
「あ、うん、お礼に食券10枚。」
「あたしが渡してこうか?」
「え?ううん、自分で渡すよ。それじゃないとお礼にならない気がする。」
「あ、そう。」
ありがとう冴子。
あなたも私のバランサーなんだね。
剛くんとつきあったらきっと私は悲しい思いをするのだろう。
そう、考えることにした。
そう考えないとやっとできた大切な友達も失うような気がしてならなかったからだ。
午前中の授業はモヤモヤした気持ちで全然集中できなかったし、もうお昼だというのにおなかもすかない。
「じゃ、とこちゃん、食堂行ってくるんでしょ?あたしたちはここで待ってるね。」
きょんちゃんはお弁当を自分の机で開けながらそう私に言った。
「ところ、なんか言われても無視よ、無視!」
「あはは、大丈夫だって冴子。それじゃ行ってくるね。」
私は足どり重くとぼとぼと食堂へと向かった。
私の人生がXX!?なのはなんでなの!? 億田・クゥヘン・夢人 @windows-run
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