第9話
1時間目の授業が終わるころ剛くんからメールが来た。
『御燭寺様へ
あの上履きはキミのだったのですね。
無事に主のところに戻ってあの上履きもホッとしたことでしょう。
人が困っている時に助けるのは当然のことです。
礼にはおよびません。
昨今ではそんな当然のことをする人も少なくなってまいりましたね。
嘆かわしいかぎりです。
そういえば昨日、電車の中で年配の方たちが肩がぶつかったのどうなので言い合いの喧嘩をしていました。
周りの人たちは見て見ぬふりです。
それもそのはずその人たちはいかにも的なコワモテで関わろうものならとばっちりを受けそうな感じでした。
僕は思わず
「すみません、周りの人たちに迷惑なのでこれ以上続けるなら電車を降りてやってくれませんか」
と言った隣の人をギョッとして見ました。
「なんだと、テメエ」
そのコワモテさんの1人は隣の人の胸倉を掴んで次の駅で供に降りていきました。
怖いですね、恐ろしいですね。
あ、さっき礼にはおよびませんと言いましたがせっかく御燭寺さんが用意してくれたみたいなので受け取りにうかがいますね。
嬉しいですね、楽しみですね。
それではトイレへ行っていきます。
御手洗剛より』
なんだろう、この長文メールは。
もしかして授業中にメールを打ってたんだろうか。
内容はともかく私にこんな手間をかけてくれるなんて嬉しい。
スマフォを見ながらニヤニヤしてると
「あれ~とこちゃん、スマフォ見ながらニヤニヤしてるぅ~。」
すかさずきょんちゃんが突っ込んできた。
「あ、あはは、御手洗くんにお礼のメールをしたら返事がきたの。」
「え~、見せて見せて!」
「えへへ、いいよ。」
きょんちゃんにスマフォを渡した。
「...ブッハッハッハ。御手洗君って面白いねー。冴子も見る?」
きょんちゃんは冴子に私のスマフォを渡した。
「ん、見る。」
私ときょんちゃんは冴子の反応を待った。
「....なんか、キモくない?」
「え?」
私は耳を疑ったが冴子は確かにそう言ったのだ。
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