第2話
御燭寺家の朝食は7時きっかり。
ここで私は早くも今日のDOAAを試してみる。
(目玉焼きがおかずとしてでてくれば学校で剛くんとお話ができる!)
しかし、でてきたのは焼き魚と納豆と生卵と海苔...
「はあ、まあ、なんか魚の焼ける匂いはしたんだけどねえ」
まさかと思えることを的中させるほどそれだけ願ったことの実現率があがる。
ここで焼き魚などと決めてしまっては出来レくさいので私は目玉焼きに賭けた。
「え?なに?とこちゃん、サケ好きでしょ?」
「あ!ううん、ママ違うの。ちょっと考えごとしてて。」
「ん?あ、そう。なんかあったらママかパパにちゃんと言ってね。」
うちの両親は私が名前のせいでイジメにあったことを知ってから過剰に私のことを心配してくれてとても優しい。
わざわざ引っ越しまでしてくれた。
今度は多少のことではへこたれないし、いつも笑顔でいよう。
高校デビューなのだ!
電車を降りてバス亭で並んでいるといつもの声が聞こえてきた。
「ところ!ハヨー!」
「あ!おはよう、冴子」
彼女の名は
高校で初めてできた友達。
私は親友って思っている。
「ねえねえ、数学の宿題やってきた?」
「え?そんなんあったけ?」
「まじかー、ところもやってないかあ。学校ついたらきょんに見せてもらおう。」
「そうね。」
きょんとは
冴子を通じてできた友達。
彼女は学年1位を争う秀才とまではいかないけれど私たちよりは成績が良い。
私たちはバスに乗り昨日のTV、ドラマがどうだとか同じクラスの男子の誰誰がどうだとかでいつものように他愛のない話を学校に着くまで堪能した。
「オッハー!」「きょんちゃん、おはよ!」
「冴子、とこちゃん、オハヨー!」
「きょんきょん、数学の宿題、見・せ・て」
「冴子、また忘れたのおー」
「あ、きょんちゃん、ごめん、私も見せて」
「とこちゃんまで。じゃあ、お礼はお昼にりんごジュース2人であたしに1本おごってね。」
「んー、いいよ。それくらい」「おっけい!」
こんなように今まで感じたことがないくらい、今の学校生活は楽しい。
以前この2人に私のDOAAを話したことがある。
「え~~、とこちゃん、それってただの偶然じゃない?」
「ただの思い込みでしょ。ところって思い込み激しいところあるよ」
「ア、ハハハ、そうだね~。」
私はこれ以上この話をするのはヤメた。
2人と言い合いになるのもイヤだし、せっかくこうして仲良く話せるようになった友達を失いたくはない。
ただ、この2人に出会う前に私は確かに願ったのだ。
(今日の朝食がフレンチトーストだったら、親しい友達が最低2人はできる。)
と。
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