23. a (plurality of)

「ちょっと! この仮想地球の現実一致リアリティレベルは?」

 男性・が興奮気味に言った。


「いまのところ、74%ね。立法事実として使える80%まで、あと少しと言ったところかしら」

 女性・が言った。


「第3人類が人として認められてる実験世界だろ? 早く現実も追いついてこいよ!」

 圭は机をダンダンと叩いた。


「そのためには、私たちが頑張らないとね……」

 優はそう言って、こぶしを握った。華奢な手を握る様子は可愛げがある。圭の顔が、思わずほころんだ。


 現実が進めば、仮想地球との距離も近くなり得るのだ。

 

「でも……、優はさ、どう思う? 仮想地球の中だと、第3人類が、第1人類と同じように裁かれていたみたいだけど」


「うーん……。そうね。私も人の一員として認められるなら、人としての義務を負う事になるのも自然かなって」


「俺は、ちょっと疑問なんだよ。死刑がさ、犯罪の抑止力になるのかなぁ、って。ほら……今の時代だと、魂のコピーが出来るじゃん?」


 魂がコピー出来るならば。

 複数に別れた魂のうち、いくつかが死滅しても、いくつかは残る。


 ならば、そのうちの1つが死を与えられたとして、それはなことなのか? という問いだ。



 とあるである、女性・は、こう言った。

「私は、死を怖いと思う。だって……」

 少し、うつむき加減になって。


 彼女は、言葉を続けた。

「圭と一緒に、が居ることができなくなるから」



 男性・は、 少し戸惑ったように、言った。

「うん……そうだね。が居なくなるのは、もうたくさんだ」

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