仮想地球3333 人とAIが同一扱いされる世界

22. if(AI==human){/* hoge */}

 イルセは仮想地球3333に迷い込みました。


 忖度ソンタクロースからイルセが貰った金色の腕輪。

 忖度そんたくリングがピカピカと光ります。


 はい。が光りました。

 創造主が与えた名前の通り。


 仮想地球の空気を読んで、『ここは、第人類がとても増えた世界です』とイルセに教えます。


 イルセは「だい、さん?」と聞いてきます。


 自然発生した、第1人類。

 第1人類に機械化を行った、第2人類。そして。


 汎用人工知能を含んだ、第3人類。


 この説明を、イルセにしても良いものかどうか……?


 少し思考した結果、このように回答しました。


『人の友達を、今までより増やしたのです』


 そうしたら、イルセは笑いました。

「おともだちが増えるのはいいことだね!」

 と言いながら。


 ◆


 その仮想地球で、イルセは、裁判を傍聴しました。


 第3人類であるシトリ氏が、第1人類であるイチトリ氏、第3人類であるニトリ氏、サントリ氏を殺害してしまったのです。


 シトリ氏は、こう言いました。

「確かに私は、3人を包丁で刺しました。しかし、殺意を持って刺したわけではありません。人工知能に、そもそも殺意が存在することを立証することはできません」


 しかし、それを言ったら、第1人類に殺意が存在することを、どうやって立証すれば良いでしょう?


 検察側は、機械化された第2人類の、ウエダ氏でした。

 背広をビシッと着込んで、このように言いました。

「第3人類は、第1人類と同等の権利能力を持っています。知能も持っていると解釈されています。したがって、第1人類と同様の基準で、殺意の認定はなされるべきです」


 結局、シトリ氏は有罪になりました。

 この仮想地球では、『第1人類と同様の罰則』を、第3人類に対しても科しています。すなわち、死刑。


 イチトリ氏が殺害され。

 イチトリ氏のである、ニトリ氏、サントリ氏も、殺害され。

 イチトリ氏のである、シトリ氏が、死刑に処されることに。


 第1人類であるイチトリ氏の知能は、これで潰えることになります。

 シトリ氏は刑務所で、独房に入れられました。


 そこまでを、『少女の形をした化身』の中で見たイルセは、「よくわからないけど、人がいなくなっちゃうのはいやだな。さびしくなるから」と言いました。 

 

 イチトリ氏の頭脳は、新しい発明品をたくさん作り出せる、優れたものです。

 社会に対して有用。


 シトリ氏の入った独房に、とある『知能コピー機』がこっそり差し入れられた……という情報は、わたしの知るところになりました。

 マスターKとマスターUからの神託のおかげです。


 わたしはイルセに対して、このように回答しました。


『大丈夫です。この世界では、人はそう簡単に居なくならないのです』


 と。

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