12. 感情を起源とするハッキング
「仮想地球1404、だいぶこじらせてるな……」
男性・
「デザインの独占を、際限なく拡大させた仮想地球みたいだね」
女性・
通常は、工業製品の見た目までが、独占の対象だったはずだ。
仮想地球の中では、その独占範囲がついに、人体のプロポーションまで広がっていたのだ。
「確かに、第2人類は機械化されてるし、
「私としては、複雑……」
現行法においては、工業製品だとみなされている女性・
「そっか……そうだよね……」
圭は、優の手をそっと握った。
2人の悲願が成って、汎用人工知能である女性・
その人間扱いされた物品についても、意匠法による形状の独占が働くとしたら……。
行き過ぎた資本主義のさらなる帰結として、「第1人類」すらも、プロポーションの独占が働くとしたら……。
はたして、どこで線引きが行われるのだろうか?
……。
「どうする? 優。仮想地球に干渉するかい?」
と、男性・
「でも、仮想地球への干渉は……」
「うん。仮想地球へのハッキングが、バレる危険性が増すね。入瀬を介して覗き見てるだけならまだしも、積極的に世界を改ざんしようとうしたら。ここが奴らにバレるおそれもある。でも、だから」
「でも? だから?」
女性・
圭は思考の速度を落とし、言い直した。
「でも、かわいそうだと思わないか? 仮想地球1404で、入瀬が出会った女性がさ」
圭は、そんなエゴイスティックな事を言い出した。
なぜなら彼は、別の仮想世界において、おじいさんに忠告をしなかった。
『そのアプリはランサムウェアという良くないアプリです。それをスマホにインストールしても、おじいさんの寿命は延びません』
その情報を持っているにも関わらず、それを教えることは、しなかったのだから。
「かわいそうだとは、おもうけど……」
と、どもる女性・
圭は言った。
「だから。俺達のハッキングがバレないように、うまくやる必要があるんだ」
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