小田参考人に対する意見聴取‐二

(小田参考人)

 昨年十二月二十九日に本件摩耗核惨事が発生いたしまして、翌日に「摩耗」が撃破駆除されたまさにその日、総理より、全国原子力発電所の稼働停止が要請されました。

 この際、私どもに前総理から諮問は特にございませんでした。そもそも原子力発電所の稼働要件につきましては、原子力規制委員会において審査されることでありますから、そういった諮問が私どもになかったとしても、これは何も不都合な点はないのであります。


(新田委員)

 それではあらかじめ諮問がなく、前総理が稼働停止を要請されたとき、参考人はどのように感じましたか。

 お答え下さい。


(小田参考人)

 所謂原子力発電所の稼働要件につきましては、原子力規制委員会が新規制基準を厳格に運用し決定しているなかで、前総理がそういった期間に対して諮問することなく稼働停止を要請されたことにつきましては、正直唐突だなという印象を抱きました。


(新田委員)

 現政権が発足する際、参考人は非常に熱心に原子力発電所の再稼働を説得して廻ったと聞いております。このような行為が、エネルギー政策の変更に影響を及ぼしたことについてはいかがお考えでしょうか。

 お答え下さい。


(小田参考人)

 そもそも前政権による稼働停止要請については、これは何ら民意の裏付けがなく、強制力を持たない要請でありまして、このような性急な政策変更が、選挙や議決を経ることなくなされたことにつきましては、エネルギー政策に責任を持つ省庁として、やはり是正しなければならないという、所掌事務に関する責任感は当然ありました。しかしながら、そういった説得行為が実際政策変更につながったとは感じておりません。

 政策の変更は民意を受けて成立した行政府の意思によって決定されるのが民主主義でありますから、たまたま廣瀬現総理がそういったエネルギー政策については従来の姿に戻すべきだというお考えをお持ちだったので、再稼働を容認されたものだと理解しております。


(新田委員)

 それでは、佐竹前内閣の原発稼働停止の要請に関しましては、先ほど参考人は唐突と感じた、とおっしゃいましたですけれども、それ以外に、原子力規制委員会の所掌事務に関して行政府から干渉といいましょうか、そういったものがあってエネルギー政策がおかしな方向に行った、とお考えですか。


(小田参考人)

 前政権も民意を受けて成立した内閣でありますから、そういった政策変更をすることもあり得ますので、おかしな方向に行ったという感じは私は抱きませんでしたけれども、ルールはルールとして尊重して、適正に運用すべきである、という考えは一貫してもっております。


(新田委員)

 そういった信念といいましょうか参考人の考えが、現閣僚に対する説得行為として顕れた、ということでしょうか。


(小田参考人)

 そのように考えていただいて支障ございません。

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