佐竹参考人に対する意見聴取‐一

(西田委員長)

 ありがとうございました。

 それでは、続きまして佐竹前内閣総理大臣に対する意見聴取に移りたいと思います。

 言うまでもなく、佐竹前総理は本件摩耗核惨事発生時に我が国における最高責任者として、国民の避難誘導、原子力災害対処の指揮、「摩耗」対処の指揮に当たられました。未曾有の核惨事発生に伴い、寸刻の猶予も許されない中で、同時多発的に発生した幾多の困難に対し、国政の最高責任者として対処された当時の苦労につきましては、到底我々の想像が及ぶところではありません。

 しかしながら一方で、今日的視点から事案全体を俯瞰いたしますと、その意思決定過程等について一切の疑問なしとできないこともまた事実なのであります。就中なかんづく、大変な困難の中、帰還の目処が立たないままに、慣れない避難生活を強いられている国民の多くが、本件核惨事の対処について他にやりようはなかったのかという思いを抱いているであろうことは想像に難くありません。

 今日は委員会の様子はテレビやインターネットで中継されております。尾形参考人に対する意見聴取の際にも申し上げましたが、国民のみならず海外にも広く関心を集めている問題について聴取するわけですから、佐竹前総理におかれましては、聴取に対し真摯に、分かりやすい平易な言葉でお答えいただければ幸いです。それでは意見聴取に先立ちまして、佐竹前総理からひと言お願いします。


(佐竹参考人)

 ただいまご紹介に与りました前内閣総理大臣佐竹信広でございます。本日は、本件摩耗核惨事に関する意見聴取に招致され、このような意見陳述の場を設けていただいたことにまずはお礼申し上げます。まことにありがとうございます。

 なによりも、本件摩耗核惨事によって心ならずも命を落とし、或いは家族、家財を失い、非常な困難の中で今も懸命に避難生活を送っておられる国民の皆様方に、当時の最高責任者としてお詫び申し上げます。

 本日は、事案発生時の最高責任者として、当時なされた政府としての意思決定過程について質問を賜ると聞いております。意見聴取に立たれる委員方々のお言葉を、国民の皆様方からの私に対するご質問と心得、虚心坦懐に事実ありのままをお答え申し上げますので本日はどうぞよろしくお願いいたします。


(西田委員長)

 ありがとうございました。それでは意見聴取に移ります。吉田委員、どうぞ。


(吉田清之助君登壇)

(公平党吉田清之助委員)

 佐竹前総理、本日は当委員会にお越しいただきまことにありがとうございます。意見聴取に先立ちまして、まずは本件核惨事のよる犠牲者の皆様方に哀悼の意を表します。また、現在非常に多くの国民の皆様方が大変な困難の中で避難生活を強いられております。そういった方々に対し、お見舞い申し上げます。

 それでは意見聴取に移りたいと思います。

 先ほど、乾委員から米田参考人に対して質問がおこなわれましたが、その際の質問と重複するかと思います。

 当初、福島第一原発廃炉作業区に「摩耗」が上陸し、ここを襲撃した際、政府として自衛隊に対し、原子力関連施設に対する攻撃と見做して命令による治安出動を自衛隊に下令されました。南相馬におきましては、自衛隊の特科部隊が対戦車誘導弾で「摩耗」阻止作戦を実施いたしましたが、これに失敗し、福島宮城県境を越えることが確実視された段階に至りまして、自衛隊の行動が治安出動から災害派遣に切り替えられました。この点に関しまして、先ほど米田参考人は「特に違和感を感じなかった」と説明されましたが、当時の自衛隊の最高指揮官として、どのような過程を経て命令切り替えの意思決定がなされたのか、その点についてかいつまんでご説明下さい。

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