岡本三郎君の質疑-七

(岡本委員)

 ただ今総理から、原子炉立地審査指針の話が出てきましたので、これについてもちょっと質問させていただきます。

 当該指針別紙一に、「二・立地審査の指針」という項目がございます。ここに、明確に「原子炉からある距離の範囲は非居住区域であること」と記載されています。では、私がそういった指針を知っていながら、何故福岡に原発を建てよと申し上げたかといいますと、既に立地指針が制定された昭和三十九年当時から、原発っていうものは事故を起こしたときにとんでもないことになるっていうことが分かっていたわけなんですよ。それで、東京や福岡みたいな人口密集地に原発を建てられないようにするために、「二・立地審査の指針」の二・二で「原子炉からある距離の範囲内であって、非居住区域の外側の地帯は、低人口地帯であること」という文言をわざわざ指針に盛り込んだんです。

 これはもう明らかに、地方に対する差別の思想に基づいて定められている。そういった差別思想が根底にある。そう思いませんか。

 一旦過酷事故が発生すれば大変なことになるのは、都市部でも地方でも同じなんです。人口密集地の住人であろうが、低人口地帯の住人であろうが、被曝したことによって将来的な健康不安に苛まれたり、実際様々な症状を発症するリスクってのは個人レベルでは全然変わりがないんです。それなのに何故、低人口地帯だけに原発が押し付けられたのか。

 総理、いかがお考えでしょう。お答え下さい。


(廣瀬内閣総理大臣)

 指針につきましては委員ご質問のとおりでございます。

 ただ指針の「一・基本的な考え方」の「一・一原則的立地条件」の(三)におきまして、「原子炉の敷地は、その周辺も含め、必要に応じ公衆に対して適切な措置を講じうる環境にあること」とも規定致しております。これはすなわち、福島第一原発事故や本件摩耗核惨事のような過酷事故が発生し、国民の皆様方が放射線に被曝した場合におきまして、より迅速に、かつ質の高い医療を受けていただくための規定でございまして、決して低人口地帯の住民の皆様に対して差別をし、原発を押し付けるための規定ではございません。被曝者の総数が増せば、そういった迅速かつ質の高い医療というものは、これは到底望めないわけであります。

 そもそも過酷事故の発生確率自体が非常に低い中におきまして、それでもなお万が一そういった事故が発生した場合を想定して定められた指針でありますので、委員がおっしゃるような低人口地帯への原発の押し付け、差別というのは、曲解に基づくものであると考えます。委員は指針について、非常に恣意的な引用をなさってると思いますよ。


(岡本委員)

 曲解じゃないですよ。原発立地自治体の人は、多かれ少なかれ皆そう思ってますよ。総理にいわせたらそういった人たちも曲解している、ということになるんでしょうかね。まことに失礼な話です。

 今回の核惨事によって、東日本の大部分が居住不可能になりました。大変多くの方が、西日本の各地域に分散して避難しているわけです。国土はほぼ半分になったけれども、人口減少は居住可能地域の減少割合ほどではない。すなわち、指針で定める低人口地帯というものは、現状では相当限られることになると思います。そこで総理に質問します。指針に定める低人口地帯の定義についてお答え下さい。


(廣瀬内閣総理大臣)

 著しい放射線災害を与えないために、適切な措置を講じうる環境にある地帯、人口密度の低い地帯のことであります。


(岡本委員)

 人口密度の高低につきまして、判断基準はどのようになるでしょうか。例えば、一平方キロメートルあたりの居住人口が何人までですと、低人口地帯になるのでしょう。具体的に数字を挙げて説明願います。

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