岡本三郎君の質疑-六

(清水経済産業大臣)

 我が国原発の輸出につきましては、これは具体的にどこの国とどのような型式のものを取引するか、という話は全く進展しておりません。また、実際に海外輸出した我が国の原発が事故を起こしたこともなく、そういった場合の賠償責任の所在についても現時点では明らかではありませんが、通常であれば一旦現地で稼働を開始したら、あとは現地における操業者の責任に帰すると考えております。

 いずれにいたしましても、具体的に進展していない話を現時点で予断に基づいてご説明申し上げることは適当ではないと考えます。


(岡本委員)

 具体的に話が進んでないから答弁しないっていうことですか。それって酷くないですか。

 いやしくも一国の総理がですよ、国政の場で、国民から選ばれた国会議員の目の前で、またテレビをご覧の有権者を前にしてですよ、所信表明演説の際に原発輸出を口にしたんです。具体的に話が何も進んでないから質問に答えないって、なんなんでしょうね、その思い上がった態度。

 所信表明演説で総理がおっしゃった原発輸出、胡散臭い儲け話だったということでよろしいですか。

 是非総理がお答え下さい。


(廣瀬内閣総理大臣)

 岡本委員は大変にこう、原発輸出に関して胡散臭い儲け話だとおっしゃいますけれども、これは私に対して大変に失礼なものの言い方をされていると思いますよ。

 何度も申し上げておりますけれども、東日本大震災の折の福島第一原発事故においても先の摩耗核惨事におきましても、その原因というのは全く想定外の津波、或いは巨大生物による襲撃なのでありまして、こういった事象を原因とする過酷事故の発生が我が国の原子力発電所の安全性に疑問符を付けるものでは決してないことは、過去の運用実績からも明らかなんです。

 委員のように徒に危機感を煽るようなやり方はね、これは国益を損ないますよ。

 輸出相手国との間で締結されるであろう原発事故発生の場合の賠償責任につきましては、これは約款締結の際に調整することが必要であろうと今は考えていますが、基本的には先に清水大臣が説明したとおり、一義的には操業者の責任に帰するものと考えております。


(岡本委員)

 過去の運用実績を基に、我が国の原発の安全性に疑問符は付かないという回答をいただきましたけれども、これは一体誰がそんなふうに評価を下したんでしょうね。

 総理が自信を持って安全であるとおっしゃって、原発輸出を推進しようというなら、なおのこと福岡市内に原発を建造するべきじゃないんですか。これは送電ロスの観点からも有効だと考えます。清水大臣はよく分からない理由で建造しないとおっしゃいましたですけれども、総理いかがです。他国の不安を払拭するチャンスでもあります。是非ご検討ください。


(廣瀬内閣総理大臣)

 時間が限られてる中で何度も同じ話を繰り返してもこれは仕方のないことなんですけれども、委員が繰り返し同じ質問をされるのでお答えします。

 先ほど清水大臣の答弁にもございましたように、現在の我が国の経済事情を勘案いたしますと、国内に新たなプラントを建造する余力はございません。海外輸出を前提とし、外貨の獲得が期待できる輸出事業であるならともかく、国内の需要を満たすのであれば新規建設は必要ないばかりか財政の負担にもなりかねません。したがいまして、そのような状況でありますから、危険とか安全とか、そういった観点とは全く無関係に、また福岡市内外関係なく、国内のいかなる地域にも現在のところ新規にプラントを建設することはありません。

 確かにですね、岡本委員がおっしゃるように、摩耗核惨事の発生を受けてなお、臨時首都近郊に原発を新規建設する、という強気の政策が、海外に対して我が国の原発の安全性を強調する、という効果をもたらすことについては、これは否定致しません。もちろんそういった、日本政府は自国の技術に自信があるから臨時首都に原発を建てたんだろう、と考える他国の為政者もいるかもしれません。しかしながらですね、そういった輸出にプラスに働く効果を考えて建設するには、やっぱりちょっと資材とかそういったものが現在の我が国には足りないわけです。第一、福岡のような人口密集地域に現在は建てられないんですね。当然、委員はご存知と思いますけれども、昭和三十九年五月二十七日、当時の原子力委員会は原子炉安全基準専門部会からの報告を審査検討し、原子炉立地審査指針を決定しており、これは現在に至るまで有効であります。そういった指針もございまして、福岡における新規の原発建設というものはこれは適当ではないとお答え致します。

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