小笠原貞弘君の質疑-六

(廣瀬内閣総理大臣)

 先ほども申し上げたとおり、磐城第二及び常陸第二周辺は相当高線量でありまして、これは周辺の空間線量にしてミリやマイクロではなく、シーベルトオーダーの高い線量を示しているわけであります。

 監視カメラ等を設置しようとすれば当該地域を経由して廃炉作業区に入らなければならず、また高線量地域では監視カメラ等の精密機器も頻繁に故障を来すため、人命を賭してまで監視カメラを設置する緊急性もないことから、現在そういったものを設置する予定はございません。


(小笠原委員)

 言葉は悪いけれどもほったらかし、ということでしょうか。


(廣瀬内閣総理大臣)

 ほったらかしではなく、ホウ素を混入させたスラリーを覆い被せることによって核分裂反応を抑えてございます。決してほったらかしではありません。


(小笠原委員)

 現状、燃料保管用プールから転げ落ちた使用済み核燃料ですら対処方法が見つかっていないのに、今後福島第一原発事故でメルトスルーした燃料デブリをどうやって取り出すんでしょうか。


(廣瀬内閣総理大臣)

 そもそも福島第一原子力発電所の溶融燃料につきましては、その所在も含めて現在に至るまで挙動が明らかではなく、取り出し作業は全く進捗しんちょくいたしておりませんでした。したがいまして、福島第一原子力発電所の溶融燃料取り出しの遅れは、本件摩耗核惨事で転げ落ちた使用済み核燃料棒の処置とは全く関係がございません。


(小笠原委員)

 それでは磐城第二、常陸第二の溶融燃料撤去のロードマップについてお示し下さい。


(廣瀬内閣総理大臣)

 溶融燃料取り出しのロードマップにつきましては、各電力会社において現在鋭意策定中であると聞き及んでいます。現在までに示されている概要と致しましては、福島第一原発同様、両原発においても廃炉作業に約四〇年の作業期間を見込んでいる、と聞き及んでおります。


(小笠原委員)

 要するに福島第一原発事故で溶融した燃料デブリについても撤去方法が決まってないうちに、新たに磐城第二、常陸第二でそれぞれ所在不明の溶融燃料が発生してしまったわけだ。

 これはとんでもないことですよ。責任は誰が取るんでしょう。除染除染って、何か除染作業をしてら人が住めるようになるみたいな言い方を政府はしておりますけれども、汚染源の燃料デブリがどこにあるのかも分からない、取り出し方法も確立されていない、そんな危険な代物を総理はもう一回動かすとおっしゃる。私は同じ政党に属する議員として、かかる過ちを見過ごすことはできません。復興のためのエネルギー需要を満たすためとおっしゃいますけれども、そのエネルギーを得るための発電所を動かすことで、再び同じような事故が起こる可能性だってあるわけですよ。もう一度こんなことが起こったら、もうおしまいですよ。

 総理、とりあえずエネルギーのことは既存の火力水力に任せて、原発だけはやめましょう。危険です。危険きわまりない。たかが電力のために国民を存亡の淵に立たせるようなことはもうやめましょう。

 どうです総理。


(廣瀬内閣総理大臣)

 いうまでもなく現在我が国が置かれた状況は相当厳しいものがあります。摩耗核惨事による株価の大暴落、国際競争力の著しい低下、また被災に伴う大量の失業者の発生、国民生活の逼迫ひっぱく等諸問題を解決するためには、エネルギー不足が解消されなければなりません。委員のように、無責任に原発再稼働反対を唱えることは、これは責任ある政府の態度であるとは私は思いません。

 私は寧ろこの場で、国のエネルギー政策を適切に推進していくことによって本件摩耗核惨事からの一刻も早い復興を成し遂げることができるよう、各党各会派の皆様方にご理解とご協力をお願いするものであります。

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