一話目 3月3日
-星座占いー
美容院にいくと、いろんな雑誌を渡される。
好きなものや、いつもなら選ばないものをパラパラめくってみる。
先日は、雑誌とまぎれて、占い本が渡された。
毎朝の星座占いや血液型占い、そういうものは割と信じてしまう。
「そんなもの信じて、理系らしくないな、文系やな」
と笑われた過去もある。
もうそんな言葉はほとんど忘れていたし、その本の表紙がかわいかったのもあって、少し分厚めのその本を手に取った。
キノコがたくさん書かれたその占いは、「シイタケ占い」。
それぞれの星座ごとにページが分かれていて、その星座の特徴や考え方、更には残りの11星座との相性などが書かれていた。
今年の運勢とか、こう生きるべき、といった押しつけがましいものではなかった。
自分の星座を開いてみると、
「自分で決めたことは最後までやり通すが、人に流されて物事を決断したくない人間」。
と書いてあって、さっそく、おー、あたってる。と感心した。
今考えてみると、大概の人がそうであろう。
一通り自分の特徴を読んで、うんうんと納得した後、ほかの星座との関係を見てみた。
まずは一番気になる星座から。
なかなか良いことが書いてある。
「お互いを信頼し合える。」
とか、
「価値観が合う」
とか。
気分が良くなった私は、その相手に連絡する。
「お互いについて良いこと色々書いてあったよ。これも。」
と、そのページの写真を撮って送った。
その相手とは、私に、占いを信じるなんて理系らしくないと笑ったあの人。
長くなるから省略するが、まあ色々あった。けれど、それが他の人にはない信頼と温かさを生み出したことも分かっていた。
だから、きっと星座とかは関係ない。
自分たちで色々な選択をしてここまで来たのだ。
分かっていても、そういう運命みたいな、もとからこうなると決まっていた、みたいな、「赤い糸的なもの」に魅力を感じるものなのです。
わからないかなぁ、それでもいいやと思って送った返事はやはり期待を裏切らなかったけれど、それでいい。
それが私の今日の幸せ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます