文字烈
いま僕が
こんなに細かい文字たちに触れて、また少し歪にしてしまうことや、心臓の動きで震える指先や、なんど瞬きをしても乾く目玉なんかに、
絶望するとき
きみは恥ずかしげもなく心とか恋とか愛とか、未来とか希望とか、努力と勝利と友達とお化粧のこととかを、
書く
はやく、はやく僕もきみのようなものを書かなければならないと、だれに言われるまでもなくそう思っていて、ずっとそんな焦燥が世の中のすべてを組み上げてゆく
だれもが同じ星の上にいるので、世界はつながっているので、だけどあなたとあの子の植木鉢は別々で、おんなじ土は入っていません
いま僕が
美しいと思ってしまうのは心とか恋とか愛とかなんです、きみの書くその、未来とか希望とかのことなんです、
もう死んでしまった詩人の繊細な憂いや、いま生きている僕の生きていることなんかよりずっときみの、
きみが明日が美しいんです、
僕もはやくそれにならねばと、思うばかりが醜くて、瞬きと震える指先でまた、
文字を歪にしてしまう
はやく心臓を殺して僕は、
きみの書く文字だけを見ていたくなってしまう。
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