フル・ムーンに少し足りなかった夜




正解と

正義というもののことなりを

どうしてこんなにも考えなければならないのだろう


満月だねとつぶやいた

あなたの横顔は青白く

まだ少しだけ欠けているよと

諭すみたいにわたしは言った


ことばは全て刃であって

凶器と言い換えることに

さほどの意味もあったためしはない

切り落とすために振るわれる

全てが刃であるだけなのだ


真実の

やさしくないその手触りを

どうしてこんなにも確かめなければならないのだろう


満月だねとつぶやいた

あなたの名前を知っている

そうしてあなた以外の人を

あの夜から否定し続けている


満月だねとつぶやいた

あなたは今もこんなに遠く

明日はもっと丸くなるよと

どうして言うことができなかったのだろう



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