回向の街




数年越しに訪れた街は明るくて

改札口が速やかに僕を吐き出したあと

幾度かのまばたきが必要だった

あかいライトがほつほつ灯り

僕はいっそう戸惑った

業種も知れない客引きは

駅前オブジェと同じように回る


口々に押し黙る

一度も見た事のない人々が

ここは昔からそういう街だったよと

言葉を耳の後ろから

のったりと吐き捨てて行った


僕はもう一度まばたきをして

ため息をついた反動で

のったり街へと潜って行った



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