見なくていい日




空を見なくていい日には

ぶ厚くもない雲がかかっている

桜はみんな散っていて

鳥はどこかの藪で鳴いていて


空を見なくてすむ日には

煙突の火が消えていて

車がみんな事故を起こして

ゆるい靴紐を踏んづけて歩く


空を見たくもない日には

甘ったるいみたいな靄のむこうに

ビルのむこうに

山のむこうに

君のむこうに

家並のむこうに

食卓に並んだ煮付けのむこうに

君の、君の蕩けた黒目のむこうに

よがるみたいな月が転がる



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