サグレート
ねえ先生、
かるくても、
重くても、
落ちる速さは変わらないとおっしゃるのに
持っていられなくなるのはいつも
重い方だったのです。
鈍くていやな音の鳴るのは、
落ちてくだけてしまうのは、
いつもかわらず
重い方だったのです。
ねえ先生、
砕けた欠片の鋭さは
きっと重さに比例します。
軽い方をいくら砕いたって、
とうてい、
人ひとりをこんなに傷つけることが
できるはずはないと、
そうおっしゃっていただけませんか。
ねえ先生。
傷つけるものも、
傷つけられるものも、
これまでいくら数えたって
重い方ばかりだったではないですか。
先生。
これからもそうに違いないのです。先生。
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