吸血鬼の詩




美しいと思うことは

覚えていたいということです

糸の先と先を繋ぎあって

身体と言葉と

それらがぐちゃぐちゃになったものを

呼吸のように交換している


美しいと思うのは

忘れることの哀しさでした

あなたを覚えていて離したくない

あなたにわたしを

忘れられたくないと思うのと

ちょうどおんなじ重さをもって


楔を打たれた

心臓がゆらりと破裂して

多くはなかった五リットルの

血液の全部がこうもりになる


そうしてあらゆる赤が降る

うつくしいよ

わたしがもう

すべてのことばを忘れても



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