フィルター1999




この世の毒を吸い込んで、ほぅ、と吐く

みたいに、詩を作りたい。であるならつ

まり、フィルターというものはひとえに

邪魔でしかないと思うのです。

吸って吐くみたいな詩作のさなかに、僕

という人間は毒に冒されて死んでしまっ

てもいい。詩を作りたい。

指で摘まむのにちょうどいい持ち手なん

かじゃないのです。僕が毒へ向かうとき、

勝手に人間である僕を守ろうとする、お

節介な障害物でしかないのです。

目障り。詩を作りたい。

僕のことばで、君をきっと殺すから、僕

が死ぬことを当たり前みたいに眺めてい

て。きっと人類最後の詩を作るから。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る