PETROL
とぷとぷとぷ、と炎を注いで
飲み干せば、
もう少しだけ歩けるのだ
肺を灼く熱、脳を犯す熱
ふらつかなければ
疲れ切った脚は踏み出せない
その時、
一歩の価値は限りなく軽く
旅路に落とす影はどこまでも
希薄である
その時、
旅人の思考は限りなく拡散し
目的の地はどこまでも
手のひらの中
とぷとぷとぷ、と炎を足して
飲み干せば、
まだ
もう少しだけなら歩けるのだ
その時、
目的の地はどこまでも
旅路に落とす影はどこまでも
己自身で
あるはずなのだ
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