明日の朝にも




走りだす電車のモーター音が

なんとも言えず美しかった、

ぼくはその車両をなんと呼ぶのか知らない。


朝日に光る山々の

麓を走る鉄の乗り物

きっとこの先も知ることはない

どこへ行くのか、なにしに行くのか

どれほど言葉を尽くしても

一本待って乗った電車の

車両のひとつをあなたへ伝える

方法をぼくは持つことがない。


それなのに

美しかったモーター音、

乗客のいない光る車両の、

等間隔のつり革がいちどきに揺れる、

あの電車は明日の朝にも走るのか。



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