梅雨入りの詩




わたくしの孤独、

帰り道では、あまがえるが鳴き始めました

唸る発電機械は

即座に工事現場を照らすのに、

雨はまだ降りやんではおらず

びゅうびゅう吹き通るバイパスの車たちに、

たしかな目的地があるはずなのに


わたくしの生まれるずっと前には

田んぼや井川がここにもあって、

まだ名前のなかったあまがえるも

まだ名前のなかったこおろぎも

工事現場を照らしはしなかったよ、

煙る雨上がりの畦道で

命のことだけがたしかだったよ


わたくしの孤独、

なんにも区別されずに

帰り道では、あまがえるが鳴き始めました

雨が降りやんだように思うのは

これからの季節を梅雨と呼ぶため。


わたくしが家へと帰るため。



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