うみのうたかた




ぼくらって

うみのうたかた。

人魚の唄に敵わないよね。

見て美しいものでもないし。

珍しくないし。絶滅しないし。



 一羽の黒い海鳥が

 ざんぶと波間へ突き刺さった!

 鳥の体は深海の暗きに同化し

 軌跡のみが白く象られ僅か残る

 海鳥が十メートルも遠くへ浮かぶころ――


ぼくらって

うみのうたかた。

逆立ちしたって教科書に載らない。

見ても忘れていいものだし。

珍しくないし。絶滅しないし。



 湾満たし揺れる波間から

 にわかに跳びあがる銀色の魚!

 ひととき月光に輝いたかと見れば

 ぼちゃりと真っ暗な水に没する

 黙りこくる湾にきらきらとして残るのは――


見つけたのなら聴いてくれ

ぼくらはうみのうたいかた。


惑星ほしにうまれた

うたかたのうた。



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