岸辺より




川のように生きる、とか

 いつかのひとは云っていた

  そうしてぼくらの前から去った


    川のように、生きるとか


    ぼくらいつまでも岸辺から

    はなれられずに 水ばかり見てる

   いつか海へいく、水ばかり


  いつかのひとは見たことがあったろうか

 たどり着くべきと、音に聞く

 海、

 海、

 その流れの先


  ぼくら海を

   知らないことに

    こんなにも焦燥している


    焦げている。かわいている。


    川へ、飛び込むことすら

   できずに。



いつかのひと、

海を知っていましたか

海へたどり着いたのですか


ぼくは岸辺から

ときおり、

あなたと海のことを

思うことがあるのです。



――――しあわせってなんですか


――――そこでみつかったものですか


――――ぼくのみたことのないものですか


――――どうしてそんなに残酷なのですか



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