詩を書くことをゆるしてほしい




こんなにひどい世の中だから

詩を書くことをゆるしてほしい

僕や あの子や あの人が

詩を書くことをゆるしてほしい


誰もがうたを歌うだろう

たんぽぽの花はひらくだろう

ひつじの子らの足音が

世界を揺すっていくだろう


吹きぬける風のどこかには

いたずら好きの妖精がいて

僕らのわき腹をちょんちょんと

くすぐっては走り去っていく


どうして追うことができるだろう

どうして見ることができるだろう

僕らにできるのは

やさしく語りかける それだけのこと


誰もがうたを歌うだろう

たんぽぽの花はひらくだろう

ひつじの子らの足音が

世界を揺すっていくだろう


空がこんなに濁るから

詩を書くことをゆるしてほしい

僕の あの子の あの人の

秘密のことば 詩のことば



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