第11話 幼馴染と魔術師の卵

 そういうわけで、今度は幼馴染を魔術師の卵に会わせなくてはならない。

 さてどうしたものか。

「僕の幼馴染がキミに会いたいってさ」

「『暁の原石』に入会か? うむ、よいぞ。来るものは拒まずだ」

「……」

 と一人シミュレーションしてみたが、なんかしっくりこないな。

 さりげなく見学したいと言っているといつもの女子会に同席させるのが最良ではないか。

 エリザに至っては別に恋人のフリをさせるまでもなく、第三者から見れば男を尻に敷いた傲慢な女に見えるだろう。

 例の「死が二人を……」のくだりを言わせる事ができればもう言う事はない。

 いやまてよ?

 そんな事をしなくても、エリザに今回の事を正直に話し、なんとかしてもらえばいいんじゃないか?

 そもそも無関係じゃないんだ。マジナイか何かをしてもらって、事が丸く収まるよう計らってもらえば済むのではないか?

 そしてついでに桃華と仲良くなれるようにしてもらえれば……。

「汝、何か良からぬ事を考えている顔をしておるな」

「わぁっ!!」

 突然目の前に現れた顔に驚き、そのまま自分の顔を撫で回す。

「あの幼馴染をマジナイで我が物にしたいと考えたか?」

「違うよ!」

 ちょっと、そう思ったけど……。

「汝はこの世の全ての女性を我が物にしたいと願っておるではないか」

 おかしなこと言わないでよ。そりゃ、そんな事になればいいなと常々思ってるけどさ。そんなのみんなそうでしょ。男なら誰だって一度はそう思うよ。

 そんなわけで、考えが顔に出るような状態で下手な事を話しても余計に面倒な事になりそうってわけで、正直に話した。

「なんだ。せっかく我が如何わしい仲だと誤解されぬよう、泣き真似をして見せたというのに……」

 いらんお世話だ。おかげで僕は犯罪者になる所だったんだぞ。

「そう言うわけで、僕とエリザは付き合っている、という形にした方が事が丸く収まるんだよ。もちろん嫌だとは思うんだけど……、ほんの少しの間でいいんだ。演技してもらえれば……」

 なぜ自分がそんな事を、と冷たくあしらわれるかと思ったが、意外にもエリザはしれっと答える。

「別に良いぞ。無理に取り繕わずとも、我と汝の間柄は、傲慢な女が男を尻に敷いているように見えるであろう」

 そういう自覚あるの? まあ、とにかく了承してもらえるなら何でもいいか。

 三人だけで集まっても簡単にボロが出そうだ。『暁の原石』の会に桃華も招待する形が一番だろう。

 という事で、次の会の話が出たら、桃華をそれに招待する事にした。

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