第4話

走ると言っても2キロを3周(それに相当する距離)なので大した距離ではないのだが、屋内でやるのでめちゃくちゃ熱気がたまるのである。毎回先頭集団について行こうと努力していたが、なかなかできなかった。俺はゼェゼェしながら次の練習の階段ダッシュ(3階まで一気に駆け上がる練習)を5周、そしてそれが終わると腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット、反復横跳びなどなど・・・をやるともう頭がクラクラしてくるくらいである。そりゃサッカー部とかだと「こんなの当たり前じゃん」みたいにかっこよく言えるのだろうが、卓球部の人間である。辞めたいと思う人がいるのも無理はない。俺もその1人であった。

「はぁ〜疲れた〜」

「とりあえず、戻ろうか。」

「うん。」

「それじゃあ、ラリー100本。」

「嘘でしょ・・・!?」

「終わらなかったら、次に行かないからな。」

初心者がラリー100本を急に言われて出来ると思いますか?今まで全くラケットを握ったこともないような人間にこれを言われると死刑宣告されたようなものである。

「こんなもんやる気になるわけないよな。」

「あぁ。」

「そこ!私語するな!」

「「はい!」」

――聞こえてたのかよジジイ!

「ジジイと思うなそこ!」

「はい!」

「ちょっと、こっち来い。」

「はい?」

「いいから。」

「・・・」

肩に手を回されて橋の方へ移動させられた。

――嫌な予感がした。

「いい?私のことをジジイと思うのやめなさいよ?」

「は、はい・・・。」

「ほんとだな?」

「はい!」

「耳元で大きな声を出すなよ?」

「・・・は、はい。」

ようやく解放されて、「このジジイ・・・!」と思いながら台に戻ると、

「あれ?この台使ってたの?」

「早くよけろ。」

「お前が別の台に行け。」

「嫌に決まってるべやぁ!」

「知らねぇよ。」

「とりあえず、クロスで入るから。」

クロスとは4人で1台に入り、ラリーをするものである。台の多いところでは行うことは少ないが、俺の学校では台が少なかったので1年生はこれでしか練習できなかった。

「ダメに決まってるしょ。」

「他に入る台なんてないんだから。」

「知らねぇよ。」

「俺だって、知らねぇよ。」

「別の台行け。」

「入るから。」

思いっきり妨害してきやがった。俺もし返したが、相手が重すぎて妨害できなかった。まるで壁なのである。

「いい加減諦めろ。」

「なら、この台に入れろ。」

「いいよ。」

このあと、とんでもないことを言われたのである。

「・・・6時20分になったらな。」

「片付けになるべやぁ!」

「知るか!」

「知るかじゃねぇよ!入れろよ!」

「仕方ないな〜じゃあ6時15分ね。」

「子供じゃないんだろ!?」

「いやぁ〜まだ子供だもん。」

――こいつ、めちゃくちゃ悪いやつだ!

「あ、そう。」

「分かったら他に行ってね。」

「やだ。」

「分かったんじゃないの?」

「たらこ唇の言ったことが分かるわけないじゃん。」

たらこ唇とはみんなで考えてつけたあだ名である。

「わかれ。」

理不尽だろ?わざわざあだ名で呼んであげたというのに・・・

「い・や・だ。」

「この・・・」

このあとどうなったかは次回のお楽しみ♪

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