第3話
教室ではまだ席に座っていない人が沢山いたので気付かれずに何とかなったと思ったその時――
「沼田、ちょっと。」
手招きして呼んでくる。
「・・・なんですか?」
「嫌そうな顔しないでくれよ〜」
「無理です。」
「そんな事言わないでさ〜」
「で、なんですか?」
「えっとな、ちょっと別の部屋で話そうか。」
「は、はい。」
一枚の紙を差し出してきた。
「これどうゆう事だ?」
「何がですか?」
「学校が楽しくないってとこ。」
「・・・?」
「なんで?」
「学校って楽しいはずがないからですけど?」
「なんでそう思うの?」
「何となくです。」
「じゃあ、いじめられてるとかじゃないのな?」
「はい。」
「分かった。」
「それじゃあ、戻りますね。」
「今日・・・」
「すみませんでした!」
「何がだ?」
「えっ?」
「えっ?」
「遅刻ギリギリだった事じゃないんですか?」
「そうじゃないけど、遅刻ギリギリだったのか?」
「忘れてください。」
「遅刻ギリギリだったんだな?」
「忘れてください。」
「欠席ということにしようかな〜」
「問題になりますよ?」
「知ってるよ?」
「バレなきゃ犯罪じゃないなんて言わせませんよ?」
「ダメなの?」
「当たり前ですよ。」
「そっか〜」
「それじゃあ、戻ります。」
「はーい。」
俺が教室に戻ると、朝の学活を始めていた。ほぼ終わったらしく先生の話を聞くだけで終わった。
今日の授業は国数英理社の5教科であった。社会では710年は平城京のできた年なのだが、その覚え方が独特だった。他の子も様々な語呂合わせで覚えているのだが、『納豆(710)ネバネバ平城京。』の覚え方を教えてきた。俺は印象に残ったのでそれを使うことにしたが、他の生徒はもちろん別の覚え方をしていた。
「殷周秦漢隋唐宋元民清」
「まだ言ってるの?」
「言ってないと忘れそうだから・・・」
「早口言葉じゃないんだから・・・」
「違うの?」
「違うよ!?」
「じゃあ、なに?」
「中国の・・・何だったけ?」
「分かるか!」
俺は学級会計だったので、プリントを配る仕事がある。会計なのに計算以外もする。これじゃあ会計じゃなくて学級事務じゃね?
「ハーやーくー配ってー」
そうゆうやつには少しいたずらをすることにした。渡そうとした時に隣の列に置くのである。そうすると、
「ちょっと〜」
この顔が大好きなのである。どうだ。めちゃくちゃ悪いやつだろ?
「はい。」
流石に渡さないと怒られるので最終的には渡すのだけれど・・・
「急にイタズラするようになったよね。」
「元々だよ?」
「絶対に最近からだよ〜」
「気のせいだって。」
そして、部活に行くと・・・
「ママ、今日は早退するの?」
「ママじゃないですって・・・」
「じゃあ、でんクリ?」
「でんクリでもないです・・・」
「で、早退するの?しないの?」
「無理矢理ですね・・・しませんよ。」
「了解。」
先輩は別の人に聞きに行った。
「ママ、おはよう。」
「午後なんだけど?」
「知ってるよ。」
「ならこんにちはじゃないの?」
「いいじゃん。」
「よくないと思うんだけど・・・」
「いいの。」
「ハイハイ」
「そのカタコトはなに?」
「めんどくさいからに決まってるじゃん。」
「その話し方の方がめんどくさいと思うんだけど・・・」
「気にしない気にしない。」
「無理だよ!?」
「なんで?」
「当たり前じゃん!」
「集合!」
「とりあえず、後で。」
「分かった。」
練習が始まり、1年生は走るのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます