第2話

俺は雪の中を再び歩いていた。すごい吹雪の中をだ。

「すごい雪だな・・・」

――なぜ臨時休校にならないんだ!

「ママじゃん!」

「なに・・・?」

――いま機嫌悪いんだから、話しかけるな。

逆切れどころか、とばっちりである。

「怒ってるの?」

「気のせい。」

「絶対に起こってるでしょ。」

「気のせいだって。」

「もしかして・・・」

こいつなら無理矢理・・・

「恋人でもできたの?」

「んなわけあるか!!」

「本当は・・・?」

「ほんとにない!」

「ってか、誰?」

「あだ名知ってたのに本名わかんないの!?」

「当たり前じゃん。」

「当たり前じゃんって・・・」

「当たり前じゃん。」

「話を無理矢理まとめるな!」

「やだ。」

「なら、始末するしかないね?」

「出来るもんなら・・・」

首を思いっきり締めた。

「ギブ、ギブ!」

「ならもう無理矢理まとめないね?」

――権力者ならこれくらいやらなきゃね

↗これはやったらダメですよ?

「分かったから、やめて・・・」

「はい。」

「とりあえず、ママの本名教えて。」

「やだ。」

「やだ。」

「やだ。」

「やだ。」

「やだ。」

「分かった。」

「分かった。」

「じゃあ教えて。」

「なんで?」

「今、分かったって言ったから。」

「ダメじゃない?」

「ダメじゃない。」

「ダメじゃない?」

「しつこい!」

「えー」

「学校とりあえず行こうか。」

「えー。」

「行かなきゃダメだよ?」

「えー。」

「えーえーうるさい。」

「えー。」

今度は首を絞められる番だった。俺が締められていた時は省略しておこう。

これ以上は色々と問題があるのでご想像にお任せします。

次の日は土曜日で休みの日だ。俺は雪かきを手伝っていた。

「部活行かなくていいのか?」

「めんどくさいからいい。」

「部活行け。」

「えー。」

「ほら、あいつ同級生だろ?」

「ママ部活行かないの?」

「行かなきゃダメ?」

「当たり前じゃん。」

「どこが?」

「三年間やるつもりじゃないの?」

「顧問が変わらないなら今年でやめる気だけど?」

――だって走ってばっかだし。

「そうなんだ〜へぇ〜」

「そんなんでつられないよ?」

「顧問、今年で変わるらしいよ?」

「続けます。」

「最初より簡単につられてない!?」

「いや、明らかに顧問が変わる方が価値あるでしょ!?」

「そうかな・・・?」

「そうなの!」

「フゥーン⇩」

「そのイントネーションはなに!?」

「そだねー」

「オリンピックで有名になったのはどうでもいいから。」

「そだねー」

「そだねーじゃないから!」

「そだねー」

「またこの流れなの?」

「お前に見せたことあったけ?」

「ないけど、井川から聞いた。」

「なんで井川?」

「あいつ俺の彼女。」

「・・・今、なんつった?」

「井川は俺の彼女って言ったけど・・・?」

「嘘だろ!」

「いきなり嘘宣言かよ!?」

「当たり前だろ!」

「なんで当たり前なんだ!」

「お前の言葉を信じたことは一度もないからだ!」

「自信満々で言えることじゃねぇだろ!」

「自信満々で言えることじゃい!」

「語尾がおかしくなっとるぞい、爺さんや。」

「俺は爺さんじゃ・・・」

そこには先に行っていたはずの早希がいた。

「お前は幽霊か!?」

「なんで驚いてんの?」

「お前、この知らない奴と付き合ってるのか?」

「・・・誰?」

「こういってるけど?」

「この前、井川さん言いましたよね?」

「なんて?」

「私の前から消えてって。」

「だから?」

「プロポーズですよね?」

「何言ってんの?」

「プロポーズですよね?」

「だから、何言ってんの?」

「だからプロポーズじゃないんですか?」

「違うに決まってんじゃん。」

「消えてイコール付き合ってじゃないんですか!?」

「そんなわけないだろ!」

思わず突っ込んでしまった。こんな無駄話をしているせいで遅刻しそうになってしまった。走るにも路面は凍ってるし、歩くのでさえギリギリである。

「遅刻ギリギリだったね〜」

「あぁ。」

なんとか間に合った。

――ガンガン!――

一人だけ間に合わなかった奴がいた。さっきのド変態だ。

「開けてくれ!頼む!」

「変態に頼まれても絶対に入れない!」

「一生のお願いだから!」

「なら、全校生徒の前で言ってやるからな?」

「なんて?」

「一生のお願いは既に使ったから使えないからって。」

「ものの例えでしょ!?」

「そんなこと知らない。」

「子供じゃないんだから・・・」

「中学生はまだ子供ですぅ〜」

「うわっ!めちゃくちゃ腹立つわ〜」

「勝手にどうぞ。」

――カチャ――

こいつはピッキングが出来るやつだった。俺はこいつが扉を開けた瞬間にコイツの道具を折り曲げて使えなくしてからまた閉め出した。

「これ、めちゃくちゃ高いんだけど!」

「知るか!」

「どこまで遅刻させたいのさ!」

「ここからここまでの99999倍かな」

「その単位がよく分からないんだけど!?」

「知るか!」

「それより、君も遅刻扱いになるよ?」

「知るか!」

「遅刻していいんだ〜へぇ〜」

「さっきの知るかは取り消し!」

「なら、開けて?」

「やだ!」

俺は完全無視して自分の教室に向かった。

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