卓球部のママの日常

囲会多マッキー

第1話


俺、沼田利壱は雪の中毎日歩いていく小・中学生を見ていつも大変だろうなと思う。


俺は、そんな人混みを避けながら登校する。中学3年生、受験生だ。


今を全力で生きることを目標として生活している。中学校では様々な活動をしていた。


ここの周辺にはアニメイトはおろかアニメにしても少ないし雪が降るので雪かきに時間をとられ見る時間がほとんどない。


そんなある日家にレコーダーがやってきて様々な深夜アニメまで見ることができるようになった。まぁスマホはまだ買ってくれてないのでしばらくはアニメを見て過ごすつもりである。


そんなある日のこと――

ライトノベルに初めて出会ったのである。最初は全く「なんだ。絵がある小説か・・・」みたいな感じで敬遠していた。そんなある日学校で

「ライトノベルって読んでる?」

声をかけてきたのは同級生の坂下康平である。

「ライトノベルって・・・」

「知らない?」

「・・・うん。」

「ライトノベルってのはね、アニメとかの絵と組み合わせて書かれている本なんだけど・・・」

「なら、○○○もあるの?」

唯一知っていたアニメが○○○だったのだ。

○○○とは学校で○○○○○○○○○○〇とか ○○○○○○○○と言うのがめんどくさくなって言い始めたいわば俺たちの隠語である。

――ごめんなさい。中学生は2次元っぽい名前を口に出すと中々な引かれ方をするんで勘弁してください。

――あと、作品名出すと色々問題があるので○○で勘弁してください。丸の数はあっているはずです。

「うん、○○○もあるよ。」

「・・・なら、買ってみようかな。」

「うん。それじゃあまた来週。」

「うん。じゃあね〜」

その週の土曜日書店に出向いて

「・・・これか。」

――なんか買いにくい。

怒らないでね?しょうがないじゃん。初めてのライトノベルだもん。今まで超長篇小説しか読んだことないんだもん。1000ページとか超えるやつしか。

俺は度胸を試された。しかし欲求には逆らえずでも、恥ずかしさを軽減させるためにもう一冊買ったのが何故か歴史的な小説であった。

月曜日、暴風警報が発令されて学校が休みになり早速読んでみた。

「・・・あれ?なんかアニメと違いすぎる気が。」

そんなわけないか、と考えてそのまま読み進めていた。全部で500ページくらいあった。ここでお気づきの方もいるだろう。そうです。間違えました。買う本、間違えました。しかしその時は全く気づいていなかった。作家さんには申し訳ないですが、本当に間違えました。すみませんでした。とても面白かったですよ!そして登校日。

「買ったの?」

「・・・うん。」

「見せて!」

「はい。」

俺は自分では間違えてないと思っている本を渡した。

「・・・」

「どうしたの?」

「言い難いんだけど・・・」

「・・・うん?」

「間違えてる・・・」

「・・・・・・うん?」

「これ○○○○○○○っていうやつだからアニメとは別のヤツ。」

きっと、これでわかる人が出てくるかな・・・出てきてなかったらすみません。

「・・・・・・ドユコト?」

「○○○○○○○じゃないやつなかった?」

「・・・どうだったかな?」

俺は買った時のことを思い出した。

「・・・よくわかんないけど、もしかしたら色が同じとこにあったのかな?」

「どうだろう・・・」

すみません。どうしようもない事故です。俺はあんまりその時はたいしてライトノベルに興味なかったんです。だから色がうんぬん・・・って言ってたんです。怒らないでください。

「まぁ、本家のやつ買ってくるわ。」

「・・・う、うん。」

というわけで一巻から6巻くらいまでまとめ買いをした。中学生としては中々の額だが、1度1冊2000円を超える超長篇小説本を買っていたのでそんなに高くは感じなかった。超長篇が好きな方々には申し訳ないですが今は中々読む気にならない。その後2ヶ月くらいかけて読み切り、続きもすべて買った。

そして、どんどんライトノベルにのめり込んでいくのである。


第1章


俺が小学5年生の時の話だ。俺は祖父母とおばさんの家に行っていた時、一緒に買い物に行っていた。そこで出会ったのが映画にもなったガリレオシリーズである。その小説には挿絵がないのである。つまり、小学5年生が読むような本ではないのであろう。しかし何故かハマってしまった。それからシャーロック・ホームズなどの長篇小説は絵がないのでそのような本ばかりを読んでいた。最終的には1000ページ近くある本まで読むようになった。小学5年生の時は読者だけではなく、リコーダーで友達と様々な曲を弾いていた。

「利壱、この曲引いてみようぜ。」

「・・・は、はぁ。」

「どうした?」

「・・・何でもないけど?」

「そうか。それならやろうぜ!」

「・・・うん。」

という感じで他の小学生が吹かないようなめちゃくちゃむずかしい曲まで弾くようになった。その時が一番楽しかった時期である。それからは毎日リコーダーを弾いていたのであまり本は読めなかった。そんな時にアニメを見たのが始まりである。テレビでアニメを見ていると「めちゃくちゃ面白い。」と思うのである。それから、小説とアニメが大好きになった。そして俺は先生とアニソンをセッションするようになったのである。

「どうだ。吹けるか?」

「は、はい。」

「それじゃあ、一緒に弾いてみるか。」

「は、はい。」

「それじゃあ、いくぞ。1、2、3、はい。」

小学5年の時の先生はギターを弾く先生であった。「でも、ピアノ弾けなきゃ小学校教員の免許取れないんじゃないの?」と聞いていたので、なんか矛盾してる気がすると思っていた。そんなある日、

「利壱、書記局やらないか?」

書記局というのは生徒会の小学校版であると考えてくれて構わない。俺は「まぁ、いいか。」と甘い考えで

「は、はい。やりますよ。」

「それじゃ、利壱とさっちゃんが書記局だな。」

さっちゃんこと、井川早希とは幼馴染である。幼稚園から同じで、家も近いのでよく遊んでいた。

「「は、はい!」」

「よろしくね、利壱。」

「こちらこそよろしく、早希。」

「利壱に『よろしく』って言われると恥ずかしいな〜」

「俺も、あんまり言いたくない。」

「ちょっと〜言いたくないってどうゆうことなのよ〜!」

「そのまんまの意味。」

「利壱?ちょっとあとでいい?」

「すまん、無理だ。」

「利壱?いいよね?」

「すまん、無理だ。」

「なんで?理由も言えないの?」

「すまん、無理だ。」

「な、明日は?」

「すまん、無理だ。」

「なんで?」

「すまん、無理だ。」

「何回繰り返すのよ!」

「すまん、何度もだ。」

「微妙に変えるな!」

「すまん、無理だ。」

「また、やってるのかよ。」

声をかけてきたのは別の幼馴染の宮川良太だ。

「すまん、今は無理だ。」

「早く移動しようぜ。」

「すまん、無理だ。」

「いいじゃない。向こうで決着を付けましょ?」

「すまん、いやだ。」

「何回繰り返す気だ?」

「すまん、何度もだ。」

「お前の大事なもんは?」

「それは、お金だ。」

「お前の嫌いなものは?」

「それは、お金だ」

「訳分からんな!」

「すまん、何がだ?」

「いい加減、普通に話せ!」

「すまん、無理だ。」

「なんでだよ!?」

「それは、呪いだからだ。」

「なら、首絞めよっかな・・・」

「うぐっ・・・もう・・・絞めてる。」

「早く、話し方戻しなさいよ?」

「それは、無理だ。」

「なら、首絞めるわね。」

「本当に、やめてくれ。」

「なら、話し方戻しなさい。」

「仕方がない、分かった。」

「とりあえず、行こ。」


時は過ぎ中学生になり、お小遣いが増えたおかげで様々な物を買うことができるようになった。まぁフィギィアとかは変えていないのだが、とりあえずはファイルなどのグッズ(?)は手に入れた。それから、卓球部に入ったが全く勝てない日々が続いた。まだ、この時はライトノベルのことは知らなかった時である。この時にも1000ページ近くにもなる小説を読んでいた。

「・・・何それ?」

「これですか?」

話しかけてきたのは担任である。まだ若いが学年主任である。

「なに読んでるの?」

「いえ、本です。」

「なんて題名?」

「えっと・・・・・・なんだっけ?」

「自分で読んでるんだよね?」

呆れ半分、驚き半分の顔で俺を見ている。

「えっと、本です。」

「いや、本ってのは分かるから。」

「・・・言いたくないです。」

「なに、エロいやつとかなの?」

「違います」

「ふぅーん。」

「なんですか、その意味深な『ふぅーん』は!?」

「いや、なんでもない。」

「なんか、気になるんですけど。」

「気にしないで。」

「そう言われると、気になるんですけど。」

「なら気にして。」

「今、気にしてます。」

「なんなの!?いうまで逃がしてくれないの!?」

というような面白い先生である。なのに授業は中々早く終わって時々遊ぶ時がある。生徒からの評判は中々いいのだろう。なんでまるで聞いたかのような言い方なのかって?それは、聞いたからだよ。まだ1年生の一学期だよ!?分かるわけないじゃん。それより、個人的に思うんだけど、馴れ馴れしくないですか?――どうでもいいけど。

そんなこんなで生活していた俺はメガネをかけていたので、バスケ、サッカー、野球はスポーツ用のメガネを買わなきゃならずやめた。正直言うと、眼鏡の度が強すぎて高かったんだもん。という理由で入った卓球部は中々ハードな部活であった。卓球といえば「あまり体力いらない。」とか「地味なやつがやるもの」って思ったから入ったんだけど、とんでもないことになった。

「それじゃあ、外周3周行ってこい!」

言ったのは顧問の伊藤先生である。伊藤先生は俺の国語科の担当でもある。

「それじゃあ、走るよ!」と登坂先輩。

「俺について来れるもんならついてこい!」と腕をブンブン回してはしゃいでいる厨二病の三沢先輩。

「・・・あまり走りたくないんだけど。」と同級生の田沢くんと井澤。

俺は「そんなに走る必要あんの?」と真面目に分析しているのであった。

実際に走ってみると楽しかった。先輩よりも速く走ろうと全力疾走してバテたり、逆に遅すぎて意味なかったり。色々あったが楽しかった。まぁ、卓球部でとあるあだ名をつけられる前までは――

「今日は、掃除してから帰ってくれ。」

副顧問の町田先生である。時々冗談とかを言ってくれたりして中々面白い先生である。

「それじゃあ、全員掃除始め!」と登坂先輩。

まず始まるのは部員全員での役取り合戦である。この部活は全部で40人いる部活なので役割が足りないのだ。俺はクラスでまあまぁ速い足を使ってなんとか役を取ることが出来た。その時に放った言葉が原因で『ママ』というあだ名がついたのである。それからは毎日の部活がある意味苦痛の日々になっていった。まぁ『ママ』ならまだマシである。俺は何故か他にも色々なあだ名をつけられた。全部で20はあるだろう。現在もだんだんと増えている。そしてその年の冬――

「外、走れなくなったね。」

「うん。」

「今日、どうしよっか?」

「うん。」

「とりあえず、何しよっか?」

「うん。」

「『うん。』しか言ってないよね?」

「うん。」

「会話成立しちゃってるよ!?」

「うん。」

「なんか、腹立つのはなんでだろう。」

「うん。」

「あー腹立つ!」

「うん。」

こんなくだらない会話をしている間に顧問の伊藤先生が来て、

「今日は廊下を走った後に階段ダッシュ。」

「・・・マジか」

「なんか言ったか?」

「いいえ。」

「本当に?」

「はい。」

「絶対に言ってないの逆の逆の逆の逆の逆の意味なのか?」

「はい?」

「言ったんだな。」

「いいえ。」

「ならなんでさっき、『はい。』と答えたんだ?」

「解けないスケート靴の紐並みにもどかしいんですけど・・・」

「分からないなら答えないで聞くべきだったな。」

「ひどくないですか?」

「知らん。」

「理不尽じゃなイカ・・・イカだけに。」

――シーン――

「寒いオヤジギャグはいいから、部活やれ。」

「は、はい。」

「それじゃあ、俺は職員室に戻ってるわ。」

「了解です。」と登坂先輩。

それから、雪がほとんど降らずに2月の中旬になり、「今年はほとんど降らなかったな〜」なんて思っていた頃、20センチくらい雪が積もった。

「うわっ、すごい雪。」

「部活やれと言ったよな・・・?」

「もしかして・・・」

どうなるかは次回に続く・・・

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