揚げ焼きで竜田揚げ風お肉

 揚げ物というのは、大量に作ろうと思うと結構大変だ。油も沢山必要だし、大量に作っていれば途中で油がへたってくるし。ついでに悠利ゆうりのようなそこまで食欲旺盛じゃない人間にしてみれば、油の匂いだけで胃もたれしてしまう。

 しかし、食べ盛り育ち盛りの面々にとっては、揚げ物は大変魅力的な料理だ。その気持ちもまあ解らなくはない。なので、皆が喜ぶご飯を作ってあげたいという気持ちは悠利にもある。あるが、あんまり大量の揚げ物と向き合うと、胃もたれの不安があるのだ。

 勿論、今では見習い組の面々も揚げ物ぐらい簡単にやってのける。それでも数が多いとどうしても大変なのだ。

 そこまで考えて、悠利は本日のメニューを決定した。


「今日は、揚げ焼きで竜田揚げ風のお肉を作ろうと思います」

「揚げ焼きってーと、油を多めに入れて、焼いているけど揚げているみたいにするってやつだっけ?」

「そう。普通に揚げるより、こっちの方が油が少ない分、匂いもマシかなって……」

「何かすごい遠い目してっけど、大丈夫か?」

「僕はウルグスほど油に強くないんです」

「ああ、なるほど」


 悠利が何を言いたいのかを察したウルグスは、それはそうだなと納得した。彼は揚げ物が大好きだし、お肉の揚げ物となれば、それはもうやる気がみなぎってくる。しかし、大量の揚げ物をしているときに、悠利が途中で「お腹いっぱいになってきちゃった……」などとつぶやくのを聞いているので、悠利には大量の揚げ物はしんどいのだろうなということぐらいは把握していた。


「ところで、竜田揚げ風ってことは、前に山芋で作ったすっげえ美味いあの味ってことか」

「まあ竜田揚げだからねぇ」

「あれで肉」

「メインディッシュ、今日はお肉だからねぇ」

「あの味で肉とか、絶対美味いやつじゃねぇか!」

「わぁ、ウルグス、食いつき方が半端ない」


 悠利の説明を噛みしめているウルグス。彼は竜田揚げの味付けがどんなものなのかを知っている。以前、山芋で竜田揚げを作ったことがあるからだ。醤油ベースのしっかりした味付けに、生姜の風味が漂って何とも言えない料理だった。山芋でも十分美味しかったのだ。それが肉ならば、美味しくないわけがない!みたいなテンションになっていた。

 ウルグスの反応から悠利は、「そういえば、竜田揚げ作ったことなかったっけ?」と思い出した。別にお肉の竜田揚げが嫌いなわけではない。作るつもりがなかったわけでもない。単純に、日々のメニューの兼ね合いで、何となく作らないままで来ていただけだ。それだけである。

 そんな中、ウルグスは真剣な顔で悠利を見た。美味しいのは解っているが、使う肉によってまた風味が変わる。ウルグスの期待に満ちた眼差しに、悠利はちょっと考えて、けれど、現実をしっかり突きつけることにした。


「お肉はビッグフロッグです」

「ビッグフロッグか……」

「ビッグフロッグの肉美味しいよ?」

「いや、美味いけど」


 ビッグフロッグの肉は、いわゆる鶏もも肉のような味わいだ。庶民御用達の、まあ、いつでも食卓に出てくるお肉。なので、ウルグスがちょっぴり落胆したのは仕方がない。

 けれど、悠利の中では竜田揚げというと鶏肉系なので、ビッグフロッグの肉を選んでしまうのだ。勿論豚肉で作っても美味しいのは知っているけれど、何となくイメージ的に鶏肉なので、鶏もも肉っぽい味わいのビッグフロッグで作りたかったのだ。

 とりあえず使う肉が解ったならば、作業に入る。くだらない問答で時間を無駄にしてはいけないのだ。


「というわけなので、ビッグフロッグのお肉を一口サイズのそぎ切りにしてください」


 悠利に言われたウルグスは、素直に作業にとりかかる。今の説明だけでどういう風に切ればいいかを理解できる程度には、ウルグスも料理に慣れていた。最初の頃など、そぎ切り?みたいな反応をしていたのが懐かしい。皆、日々成長しているのである。

 二人でせっせとビッグフロッグの肉をそぎ切りにしていく。何せ《真紅の山猫スカーレット・リンクス》は、大所帯だ。皆が満足するだけ食べられるように作るとなると、それはそれはたくさんのお肉を切らなければならない。肉はどれだけ用意しても足りるということはないのだ。育ち盛りとか、身体が資本とか、大食いとか、肉食とか、まあそんな感じの仲間達がいっぱいなので。

 特に、揚げ物でお肉となると約一名、ものすごいテンションで食いつきそうなお嬢さんがいる。猫舌なのでスタートダッシュは遅いものの、そりゃあもう全力で堪能してくれること間違いなしである。


「なあ、ユーリ」

「何、ウルグス?」

「これさあ、レレイさん、絶対すごい食いつくよな」

「まあレレイが食いつかないわけないよね」

「あとこれ竜田揚げだよな」

「竜田揚げだねえ」

「味付けに出汁、入れるやつだろ?食いつくと思うんだけど」

「食いつくだろうねえ」


 二人で思わず遠い目をした。仲間達のことをよく解っているのだ。そして彼等は思った。肉、いっぱい切ろう、と。少なくとも出来る、限り大量に仕込んでおくべきだと彼らは理解した。

 お肉&揚げ物のコンボに食いつきそうな肉食女子と、味付けに僅かとはいえ出汁を使っているという理由だけで反応しそうな出汁の信者。アレな仲間をよく理解している彼等は、騒動にならないように、少しでも平穏に食事が楽しめるように、出来るだけの対処はするべきだという結論に達した。

 何故だろう?普通にご飯を作って美味しく食べるだけでは終わらない。割と常に争奪戦になってしまうあたりが、《真紅の山猫スカーレット・リンクス》の日常なのだが。

 或いは、悠利がご飯で皆を餌付けしてしまった結果だろうか?美味しいご飯を食べてもらいたいと思っているだけなのだが、その美味しいご飯に皆が食いついた結果、何か騒ぎになっちゃうのである。

 気を取り直して、二人は大量のビッグフロッグの肉を一口サイズのそぎ切りにしていく。切り終えた肉はボウルに入れて、次はタレを作る作業だ。

 竜田揚げのタレは色々と作り方はあるのだろうが、悠利が使う調味料は酒、醤油、生姜の絞り汁、風味付けに出汁。ここに、その日の気分でニンニクのすりおろしを入れたり、塩胡椒を入れてみたり、オイスターソースを入れたりもする。

 今日はシンプルに基本形で作るつもりだ。気持ち、生姜の絞り汁を多めに入れるのは、さっぱりとした味わいに仕上げたいからだ。ビッグフロッグの肉は、鶏もも肉に似た味わいでやや油っぽい。揚げ物ということで重くなりすぎないように、生姜の絞り汁に仕事をしてもらうのだ。


「ということなので、ウルグスは頑張って生姜をすりおろしてください」

「解った」


 生姜の絞り汁が大量にいるということは、生姜を大量にすりおろさなければならないということである。これは結構な力仕事なので、力自慢のウルグスがやった方がいい。

 そうやってタレが完成したら、そこへ切った肉を入れていく。タレが全体に絡むようにしっかりと漬け込めば、後は味が馴染むまでしばらく置いておくのだ。


「それじゃ味が馴染むまで、他の料理も準備しようか。メインディッシュが竜田揚げだから、付け合わせにサラダかキャベツの千切りにしようと思うんだけど、どっちがいいと思う?」

「個人的には、キャベツの千切り。熱々の竜田揚げを上に載せたら、しなっとなって美味そう」

「確かに。じゃあ、竜田揚げは大皿に盛るとして、キャベツはそれぞれのお皿に盛って出した方がいいかな」

「その方が良いだろ。レレイさんとか、確実に肉しか食わねえ気がする」

「レレイは何でも食べるんだけどねぇ……」


 悠利は思わず遠い目になった。肉食大食い女子のレレイは、お肉まっしぐらなのだが、野菜のおかずだって大好きだ。早い話が、美味しいと思うものは何でも美味しく食べる。好き嫌いは存在しない。

 ただ、肉が一番好きなので、お肉が目の前にあるとそれしか見えない。それが解っているので、彼女の分は最初からキャベツを山盛りにして出そうと決意する悠利であった。どう考えても、他の皆みたいにお代わりには行かない気がした。

 そんな風に他の料理の下拵えを終えた後、味がいい感じに染み込んだであろうビッグフロッグの肉を確認する。最初に入れたときよりも、肉にタレの色味がついていた。


「これならいけそうかな?それじゃあ、まず試食用を作ってみようか」

「絶対美味いやつ」

「作る前から言わないでよ」


 思わず呆れたように笑う悠利。ウルグスはもう、味見が楽しみすぎて心がそちらへ飛んでいた。

 今回は揚げ焼きなので、フライパンに多めに油を入れる。油がしっかりと温まったら、そこへタレをよく切ってから片栗粉をまぶした肉を入れる。ジュワッとかバチバチという音が聞こえる。

 ちなみに、竜田揚げを作るときのコツは、タレをしっかり切ってから片栗粉をまぶすことだ。そうすることで、衣がダマにならず、薄めに仕上がる。タレの入っているボウルへ直接片栗粉を入れるとダマになってしまうので、別の場所で片栗粉をまぶした方が綺麗に仕上がるのだ。少なくとも悠利はそういう風に作っている。

 竜田揚げは唐揚げに似ているが、悠利の中では衣が小麦粉なら唐揚げ、片栗粉なら竜田揚げという認識である。厳密にどういう違いがあるのかは知らないが、少なくとも釘宮家ではこれで通っていた。

 バチバチと音をたてながら、肉に火が通っていくのが解る。泳ぐほどではなく、肉の半分ほどが浸かる程度の油しか入れていないが、それでも確かに浸かっている面は揚がっている。きちんと火が通ってきたと確認出来たら、今度はひっくり返してもう反面も同じように焼く。

 この揚げ焼きという調理方法は、他の食材でも行える。利点は、揚げ物ほど大量の油が必要ないところだろうか。油が多くないので、揚げ物ほど油跳ねはしない。その代わり、厚みのある食材は向かない。反面ずつしか焼けないので、その状態できちんと火が通る程度の厚みが適切なのだ。

 そう、だから悠利は、ビッグフロッグの肉を一口サイズのそぎ切りにした。そぎ切りとは、つまりは斜めに薄く切ることだ。よくお店で食べる唐揚げや竜田揚げのようなころりとした形では、揚げ焼きには適さないのだ。

 そうこうしているうちに両面しっかりと揚げ焼きに出来た。こんがりとキツネ色になっているのを確認して、フライパンから引き上げる。しっかりと油を切ってから小皿に乗せ、二人は顔を見合わせて頷いた。味見は大事なのだ。

 かぷりと竜田揚げを囓った瞬間に感じるのは、やはり出来たて特有の熱さだ。ついで、ジュワリと口の中に広がる肉汁とタレの味。醤油ベースのタレではあるが、今日は生姜をたっぷり入れたので、鼻から抜けるような生姜の風味がぶわりと広がる。ビッグフロッグの肉は鶏もも肉に似た味わいなので、肉そのものの味わいがしっかりしている。脂もほどほどに存在するので、タレの味に負けることもなく、肉そのものの旨味がしっかりとそこにある。

 まあ、うだうだと並べ立てているが、早い話がとても美味しいということだ。


「やっぱり、竜田揚げはビッグフロッグのお肉が美味しいと思ったんだよね。うん、いけるいける」


 思った通りの仕上がりに、悠利は満足そうに頷いている。揚げ焼きではあるが、しっかり火を通したので食感は普通に揚げているときと変わらない。そんな悠利の横でウルグスは、無言で竜田揚げを食べていた。


「ウルグス、味はどうかな?僕は、これくらいでいいと思うんだけど」

「……」

「ウルグス?」


 返事がなかった。悠利がウルグスを見れば、彼は噛みしめるように竜田揚げを味わっていた。味見は一個までということなので、その一つを大事に大事に堪能しているのだろう。それは解ったけれど、何もそこまで真剣にならなくても……、と思う悠利だった。

 しばらくして、竜田揚げをじっくり堪能したらしいウルグスは、真剣な顔で悠利を見た。


「どうしたの、ウルグス」

「ライスがいる」

「ええっと」

「山芋のときも思ったけど、これ滅茶苦茶ライスが欲しくなるから、ライスいっぱい準備しようぜ」

「ウルグスのその勘は本当に当たるんだよね。解った。ライスいっぱい用意するね」

「レレイさん、絶対にいつもの二倍ぐらい食う」

「レレイの二倍は止めてほしいな、僕……」


 美味しかったのは解るが、その宣言はいらなかったと思う悠利であった。しかし、ウルグスのこの手の勘は外れない。何せ、彼がそもそもお肉大好きでご飯も大好きなのだ。その彼に太鼓判を押された以上、確かにいつもよりお米は多めに準備した方がいいかもしれないと思う悠利なのでありました。




 そして夕飯の時間、ウルグスの顔は大当たりだった。それはもう、先見の明ってこういうことを言うのかなと言うレベルで、当たっていた。

 結論から言えば、ビッグフロッグの竜田揚げは大盛況である。揚げ焼きではあるが仕上がりは問題ないので、味も食感もきちんと竜田揚げだ。タレにしっかり漬け込んだ濃い味付けは、ご飯が進むおかずなのだ。

 そして、普通の竜田揚げを知らない皆にしてみれば、作り方が揚げ焼きだろうと何も問題はない。この料理がとても美味しい肉料理だということだけが、重要なのだ。

 肉にしっかりとタレが染み込み、その濃いめの味付けが多めに入れた生姜の絞り汁によって思っているよりはさっぱりとしている。肉汁は確かにあるのに、生姜の風味のおかげで食べやすく、また千切りキャベツと共に食べても、白米と共に食べても美味しい。こんな料理で箸が進まぬわけがないのである。

 それは、悠利の目の前で幸せそうに肉を頬張っているレレイも例外ではない。同じテーブルの彼女から自分の分を確保するために、悠利達はとりあえず小皿に竜田揚げを多めに取っていた。レレイは猫舌なので最初は食べずにじーっと待っているのだが、実際に食べ始めたら彼女が一番早いのだ。


「そういえばこのお肉、ビッグフロッグなのよね?」

「そうだよヘルミーネ」

「でも何かさっぱりしてるから美味しい」

「今日は生姜の絞り汁を多めに入れたからね」

「生姜ってすごいのね」

「ねー」


 のほほんと会話をしている悠利とヘルミーネ。彼らが比較的穏やかに過ごせているのは、今一人の同席者、クーレッシュのおかげである。彼はレレイの行動が解っているので、彼女が何も考えずに食べようとすると大皿を取り上げたり、他のおかずを食べるように誘導したりと、何というかこう、甲斐甲斐しく調整してくれている。

 なお、クーレッシュがいない場合は、レレイと同じテーブルになった誰かがこの役目をやらなければならない。ちなみに、ユーリがクーレッシュの代わりにこの役目をお願いすることが多いのは、マリアやラジである。年代も近く、常日頃から何やかんやと接触のある訓練生同士。ついでにレレイに力負けもしない。この二人は、レレイが大皿料理に突撃しようとした場合に、いい感じにブレーキをかけてくれるのだ。適材適所であった。

 それはさておき、竜田揚げの美味しさはやはり、下味がしっかりついていることだろう。噛めば噛むほど、肉汁とタレの味が混ざり合ってより一層食事が進む。今回は少食組でも食べやすいようにと生姜の絞り汁を多めに入れたが、これがまた大当たり。小食組以外も美味しそうに食べている。

 ちなみに、隠し味程度にタレに少量の顆粒だしが入っているからだろう。マグがそれはもう解りやすいほどに食いついていた。なお、それを見越してウルグスと悠利は、あらかじめ別皿を用意しておいた。そうでもしないと見習い組のテーブルが、すさまじい争奪戦になるからだ。

 自分一人大皿を用意され、ご満悦のマグ。別に、これはマグだから贔屓しているというわけでもない。誰かの好物であった場合は、その人だけ大盛りになるとか、皆がお代わりを譲るとか、そういう思いやりは他の人の場合にだってあるのだ。

 ただ、マグの場合は出汁に対しての情熱が著しく、彼がそういう風な待遇を受けていることが多いだけである。基本、出汁の入った料理は全部好物みたいになってしまうので。つまりは、判定枠が多いのだ。


「美味」

「美味いのは解ってる。とりあえず、その皿だけで満足しとけ」

「美味、大皿」

「大皿は俺ら三人の分だよ」


 じーっと見つめてくるマグに、ウルグスはきっぱりと言い切った。まだ自分の皿にたっぷり竜田揚げあるというのに、マグはそっちの大皿のも美味しそうみたいな反応をしていた。きちんと言い聞かせておかないと自分達の分が危ないと思ったのか、ウルグスもそこは譲らない。

 普段ならここでケンカになるのだが、今日は手元の大皿に満足する量があるからか、マグはそれ以上何も言わなかった。食事に集中するつもりなのか、竜田揚げを口に入れては白米を口に運び、竜田揚げを口に入れてはキャベツの千切りを口に運びという感じで、まあ美味しそうに堪能していた。平和が一番である。

 悠利も勿論堪能している。揚げ焼きとはいえ量が量なのでちょっと胃もたれはするかなとは思っていたが、ウルグスが代わりに頑張ってくれたので負担が少なかったのだ。せっかく美味しい料理なので、悠利も美味しく食べられる方が良いと気遣ってくれたのだ。優しい。


「ねぇユーリ、聞いて」

「なぁに、レレイ」

「あたし思うんだけどね。これきっと、オーク肉でも美味しいと思う!」

「…………」


 キラキラと顔を輝かせるレレイ。悠利は思わず沈黙した。肉食の本能って凄いなぁというやつである。

 豚肉の竜田揚げも存在する。あれはあれで、薄切り肉みたいなのでやるとカリカリ食感も楽しめて楽しい。楽しいのだが、特に料理が得意というわけではないのに、食べる方法やこれだったらあの食材でも美味しくなると思う、みたいな発想がひょいひょい飛び出してくるレレイに驚いているのだ。食いしん坊の食いしん坊たる所以なのだろうか。


「そうだねえ。まあ、オーク肉でも美味しく出来ると思うよ」

「じゃあ今度作って」

「まあ、それは食材とかの兼ね合いということで」

「作ってよ」

「だから、その日の状況によるってば。もしかしたら、いつか作るかもしれないってことで」

「はぁい」


 ここで安請け合いをしないのが悠利の処世術であった。うっかり安請け合いをしてしまうと、「まだ?まだ?」「今日作ってくれる?明日作ってくれる?」みたいな感じで、レレイに付きまとわれるからだ。悠利は学習したのである。

 まあ、確かに豚肉の薄切りを竜田揚げにしたのは美味しいし、多分皆も気に入ってくれるだろう。オーク肉はビッグフロッグやバイパーの肉に比べれば少し高めだが、手が出ないお肉ではない。いつかそのうち、他の食材との兼ね合いも考えて、後お財布事情と相談して、作ってみてもいいかなと思う悠利だった。

 とりあえず揚げ焼きで作った竜田揚げ風のビッグフロッグは大好評で、ウルグスと二人で大量に仕込んだ分は、きっちり皆の胃袋に消えていったのでした。美味しいは正義です。


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