書籍19巻部分
思わぬ場所で思わぬ再会でした
王家からの仕事を受けたアリーとブルック、ダンジョンマスターであるウォルナデットの頼みを受けた
なお、今の時間はおやつに少し早いかな……?ぐらいの時間帯だ。昼食は馬車の中で、悠利が作ったお弁当を食べることで済ませている。今日はダンジョンに宿泊するのが目的で、探索は明日からの予定なのでこういうスケジュールになっているのだ。
そんなわけで到着した数多の歓待場であるが、目の前に広がる光景に悠利はぽかんとしていた。以前来たときとは随分と趣が変わっている。
勿論、ダンジョンそのものに変化はない。相変わらず入り口代わりにででーんと存在しているのは、洋画でヴァンパイアが住んでいそうな洋館である。大草原のど真ん中にぽつんと洋館が佇んでいたのが以前の光景。そして今は、その周囲にテントや屋台、簡易小屋などが並んでいた。……そう、小さな市場みたいになっているのだ。
「思っていた以上にお店が増えてますね」
「まぁ、国の調査隊が来てたりするからな。それを目当てに商売をしに来てるんだろう」
「あ、アリーさん、あそこに美味しそうな串焼きが……!」
「お前は息をするように食べ物に食いつくんじゃない」
「あうー……」
どんな味ですかね?とうきうきで屋台へ向かおうとした悠利は、アリーに襟首を引っ掴まれて動きを止められた。ふわりと漂う濃厚なタレの香りが食欲をそそるのだ。何の肉を、どんな下味を付けて、どういう風に焼いているのか。お料理大好き少年としては、気になって気になって仕方がないのである。
悠利のそんな反応はお見通しだったのか、捕まえたアリーにしても動きが慣れていた。相変わらずだなお前達、と言いたげな生温い視線を向けてくるブルックと、仲良し?と言いたげな眼差しで見つめるルークスの姿があった。ルークスは悠利を害する相手には容赦がないが、アリーの悠利に対する態度には比較的寛大である。保護者様の苦労を察しているのかもしれない。
「それで、宿泊の手続きはどうするんだ?」
「とりあえず、ウォリーさんが入り口で待っててくれるらしいです。そこで鍵をくれるのと、部屋まで案内してくれる、と」
「……その入り口ってのは、建物の外なのか、ユーリ」
「へ?」
アリーの言葉に悠利は首を傾げた。ダンジョンマスターであるウォルナデットは、基本的にダンジョンの中からは出られない。だから、入り口と言えば洋館の入り口の中だと思っていた悠利である。
しかし、アリーが示した先を見れば、ぶんぶんと嬉しそうに手を振るウォルナデットの姿が見えた。……洋館の外の、恐らくは兵士の詰め所であろう建物の傍らに、である。物凄く普通に外に出ていた。
「アレ……?」
「確か以前、外側もダンジョンの敷地だと言っていなかったか?そこまで建物を構築する余力がないから、地面部分だけがダンジョンの範疇だとかなんとか」
「あ。そんなこと言ってましたね。つまり、あの辺はダンジョンの敷地内なんですね」
こっちだぞー!と言いたげに手を振るウォルナデット。人好きのするお兄ちゃんがそんな行動に出ているので、周囲は何だか微笑ましいものを見るような眼差しになっていた。……アレがダンジョンマスターだなんて、きっと誰も思いもしないだろう。だってどこにでもいる普通のお兄ちゃんなのだから。
ブルックの言葉で何で彼が外に出ているのかを理解した悠利は、果たしてどの辺までがダンジョンの敷地なんだろうか、と思った。屋台などでお店がいっぱい出ているが、買い物できる範囲なのかな、と。……まぁ、ウォルナデットは金を持っていないので買い物は出来ないのだが。
とりあえず、全力で歓迎されているので、ウォルナデットの所へ向かう悠利達。あいつダンジョンマスターなんだよなぁ、とアリーがぼそっと呟いた言葉には、あえて何も言わない悠利だった。今更である。ウォルナデットは元人間なので、とてもフレンドリーなお兄ちゃんなのだ。
そもそも、彼が師匠と仰ぐのが収穫の箱庭のダンジョンマスターのマギサだ。近隣の住民が遊びに来てくれると嬉しい、なんて理由で農園か果樹園かスーパーか、みたいなダンジョンを運営している存在を先輩として尊敬しているのだ。一般論を当てはめてはいけない。
「ウォリーさん、こんにちは。お招きありがとうございます」
「いらっしゃい、ユーリくん。今日は面倒なことを頼んでごめんね」
「いえ、お泊まり楽しそうなので、大丈夫で」
「それは良かった」
にこにこととても友好的な笑顔で迎えてくれるウォルナデット。どう見てもダンジョンマスターには見えないが、悠利にしてみれば知り合いのお兄さん枠なので問題はなかった。……問題があるとしたら、アリーが微妙な顔をしている点だろうか。こいつダンジョンマスターなんだよな……と言いたげな顔だ。
ブルックの方は特に気にした風もなく、会釈をすることで挨拶に代えている。元々そこまで多弁な方ではなく(親しい友人相手だと何だかんだで饒舌にはなるが)、これも彼の通常運転だ。なので、悠利もアリーも気にしない。
「とりあえず、三人で宿泊って話だから、四人部屋を用意したよ」
「ありがとうございますー」
「あと、色々考えた結果、洗い物が出来るように流し台は作ったけど、コンロとかは置かないことになった」
「……え、そうなんですか?」
「うん」
ウォルナデットの説明に、悠利はそれなら調理は出来ないなーと考えた。まぁ、簡易キッチンで皆のご飯を作るのは大変なので、今回は作ったものを持ってきたりしているのだが。別に食事に支障は出ない。ただ、悠利がもの足りないと思うだけで。
「確かにあったら便利かとは思ったんだけど、キッチンがなければ外の店で食事を買うだろう?そうした方が相乗効果で良い感じになるんじゃないかって言われてさ」
「どなたに?」
思わず問いかけた悠利だった。ウォルナデットが嬉々としてダンジョンの一部に宿屋を作ろうとしているのを知っているのは、関係者ぐらいだろう。関係者の中でも偉い人だと思う。それゆえの疑問だった。
そんな悠利に、ウォルナデットはへにゃっと笑って答えた。どこか嬉しそうだった。
「詰め所の兵士を取りまとめてる責任者のおっちゃん。叩き上げらしく色んな所に気がついてさ。せっかく商人達が来てるんだから、そこと相乗効果が生まれるようにしろって言ってくれて」
「わー、頼れる方がいるんですね」
「そうそう。俺がお金がないから買い物出来ないって言ったら、時々料理を買ってきて分けてくれるんだ。優しいだろ!」
「良かったですねぇ」
盛り上がる二人の会話を聞きながら、むしろそっちが理由で懐いてるんだな、と理解したアリーとブルックだった。元人間のウォルナデットは、別に食事が必要ないダンジョンマスターながら、人間の食べ物に飢えていた。早く鉱物を換金できる商人などが来てくれると良いな、と生温く見つめる二人だった。
「それじゃあ、一先ず部屋に案内するので良いかな?」
「僕は大丈夫です。アリーさんは?」
「今日は宿泊がメインだから問題ない」
「だ、そうです」
「了解。それじゃあ、お部屋にご案内だな」
にっかと笑うウォルナデット。今はまだ国の調査隊や、国から許可を得た者達しか来訪していないので、悠利の姿はとても浮いていた。しかし、ウォルナデットが案内を買って出ている段階で、詰め所の兵士達はそういうものかという顔をしていた。……どうやら彼は随分と馴染んでいるらしい。
いざ出発!と一歩を踏み出した瞬間だった。不思議そうな声が彼らの動きを止めた。
「ブルック?」
「あぁ、やはり君も来ていたのか」
「……ロゼにランディ?……何でお前等がいるんだ?」
「「何故いないと思った」」
突然名前を呼ばれたブルックが動きを止めて、視線を向ける。悠利達も同じ方向を見た。そこには、一組の長身の男女が立っていた。
どちらも随分と背が高い。女性の方もアリーと変わらないほどの長身だ。すらりとした体型が、余計にシュッとして見えるのはそのせいだろう。男性の方はそれよりも更に頭一つ分ほど背が高い。かなりの長身であるブルックよりも、まだ少し背が高く見えた。こちらはほっそりとした印象で、背が高いので余計に細く見える。
どうやらブルックの知り合いらしい二人は、自分達がここにいるのは当然だと言いたげだ。ブルックの方は首を傾げているが、彼らには自分達がここで集合するのは不思議でも何でもないらしい。……誰だろうこの人達、と思った悠利はアリーを見上げたが、アリーも知らないのか小さく頭を振っていた。
アリーとブルックの付き合いは長い。彼らが共にパーティーを組んでいた頃というのは、もう十年以上も昔の話である。そのアリーが知らない知り合いということは、それよりも前からの付き合いということだろう。随分と親しそうに見える。
悠利達の疑問は、三人の会話で解消された。あっさりと。
「お前達がいるとは思わなかったんだが」
「潰したはずのダンジョンが復活していると聞いたら、見に来るだろうが」
「その通り。休眠状態にはしたが、消滅には至らなかったのだから、なおさらだろう。まして、あのように物騒だったダンジョンだよ。被害があってはと確認に来るでしょうに」
「……つまり、ここはあのとき潰したダンジョンであっていたのか……?」
「「コラ」」
面倒くさそうに凜々しい風情の女性が勇ましい口調で告げ、困ったように柔らかな美貌の男性が穏やかな口調で告げる。その二人の言葉を聞いたブルックは、真剣な顔で、……それこそ、滅多に見せない真剣な顔で、とぼけたことを言った。瞬間、眼前に立つ二人から流れるような仕草で平手が飛んだ。頭をぱしんと両サイドから叩かれて、ブルックは面倒くさそうな顔をしている。
その会話を聞いて、悠利とアリーは顔を見合わせた。見合わせて、そして、盛大に溜息をついた。つまり目の前の二人は、ブルックの幼馴染みである
ウォルナデットがダンジョンマスターを務める無明の採掘場及び数多の歓待場は、大昔にダンジョンマスターを殺され、ダンジョンコアを休眠状態に追い込まれている。その切羽詰まった状況でダンジョンマスターにされたのがウォルナデットであり、何とか最低限の活動が出来るだけのエネルギーが回復したからダンジョンが地表に浮上したというのが、このダンジョンの発見の経緯だ。
つまりは、目の前の三人が、ウォルナデットの先代をぶっ倒し、ダンジョンコアをボッコボコにした方々というわけである。局地的過剰戦力の集中であった。わー、と思わず感嘆の声を上げた悠利に罪はあるまい。滅茶苦茶強い人×三の共演なんて、滅多に見られない。
とはいえ、言葉を交わす彼らの姿はごく普通の親しい者達のようにしか見えず、溢れ出る強者オーラみたいなものも引っ込めているのか、周囲の注目を集めることもなかった。ただアリーだけが、あのアホと小さく呻いている。ブルックの記憶力に物申したかったらしい。
そしてそれは、目の前の幼馴染み二人も同じだったらしい。大真面目な顔でとぼけたことを言ったブルックに対して、二人の口からは小言が飛び出している。
「本当に貴様は、甘味以外に対する記憶力が著しく低いな」
「別にそういうわけじゃないが」
「そういうわけでしょうに。依頼が終わればこれ幸いと、優先順位を下げて綺麗さっぱり忘れるのは君の悪癖ですよ」
「依頼が終わってるなら良いだろ?」
「「良くない」」
状況による、と真顔で言う幼馴染みに、ブルックは面倒くさそうな顔をしていた。彼にとっては、用済みの事柄は記憶容量から抹消していくのが普通らしい。そんなことより甘味情報を覚えている方が重要だと思っている。
小言を言い続ける長身の男女と、悪びれもせず、ほぼいつも通りの無表情っぽい状態でそれを聞き流している男。全員が周囲よりもかなり長身なので、物凄く目立っていた。彼らの会話の声は小さいが、彼らの存在感は消せていなかった。
ましてやここは、ダンジョンの入り口付近である。諸々お仕事で出入りする人々が、何だ何だ?みたいなノリで注目している。……まぁ、注目してはどうやら身内の会話らしいと判断して去っていくのだが。
いつもならばタイミングを見計らって軌道修正に乗り出すはずのアリーが、今日は動けずにいた。ブルックの幼馴染みということは、全員がかなり年上で、しかも強者だ。初対面で迂闊な口を挟めないということだろうか。
そんなアリーを見て、どうするの?部屋に行かないの?みたいな顔をしているウォルナデットを見て、悠利は小さく頷いた。よし、ここは僕が一肌脱ごう。そんな気分になっていた。
悠利は自分が子供枠であることを自覚している。常識的な大人は、子供に声をかけられて無碍にはしない。ブルックの幼馴染みであれば、子供が会話に割り込んでも邪険にしないだろうという信頼もあった。
「あのー、お話し盛り上がってるところ申し訳ないんですけどー、ご挨拶しても良いですか?」
「ユーリ」
「おや、可愛い坊やじゃないか。このバカの知り合いかい?」
「バカ言うな」
「この考え無しの知り合いですか、愛らしい少年」
「考え無しと言うな」
「あ、はは……」
幼馴染みって容赦ないよなぁ、と悠利は思った。女性も男性も、突然割り込んだ悠利に対してとても優しかった。女性は凜々しい美貌に惚れ惚れするようなクールな微笑みを浮かべ、男性は柔和な面差しに安心感を抱かせる微笑を浮かべてくれる。
そして、そんな風に悠利には優しいけれど、ブルックをこき下ろすのは忘れていなかった。ブルックやレオポルドがアリーに対するときみたいな態度である。ブルックがこういう扱いを受ける側なのは珍しく、ちょっと新鮮な気持ちになる悠利だった。
「僕はブルックさんと同じ《
「あぁ、その通り。あたしはロザリア。ロゼと呼んでくれ」
「私はランドールです。ランディと呼んでくださいね」
「ロゼさんとランディさんですね。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる悠利に、二人は優しく微笑んでくれる。その流れで、ブルックが手招きをしたのでアリーやウォルナデットも合流した。勿論、悠利の足下には護衛を自認する頼れる従魔のルークスが鎮座している。自分のご挨拶は最後だと思っているのか、今は特に鳴き声も上げずに大人しかった。
「俺は《
「俺はウォルナデットでーす。このダンジョンで案内人?みたいなことをやってまーす」
「……ウォリーさん、そんな楽しそうにびっみょーな発言しないでください」
「えー、でも、嘘じゃないぞ?」
「嘘じゃないですけどー」
確かに今のウォルナデットのお仕事はそういう感じの部分もある。調査隊の皆さんに適宜情報をお渡しするのも彼の仕事だ。だからって、このダンジョンがどういう経緯で休眠したかを知っているお二人に、その発言は色々とアレである。
案の定、ロザリアとランドールの目がすぅっと細められた。元々切れ長の狐目をしているロザリアはそこまで印象が変わることはないが、柔和な面差しのランドールが唐突に鋭い気配を漂わせると、物凄くギャップがある。思わず小さく声を上げて隣のアリーの腕を掴んでしまう悠利だった。鈍感でも気付いてしまう気配の変化である。
「ロゼ、ランディ、威圧するな。その男が安全であることは俺が保証する」
「……つまり、彼が何者かを貴様は知っているわけだな?」
「詳しい説明を求めても?」
「お前達が望むなら。……まぁ、こちらもお前達がいた方が話が早い気がするがな」
ぼそりと付け加えられたブルックの一言に、アリーはアホと呟いた。自分の記憶があやふやなので、幼馴染み二人に諸々の確認をして貰おうという魂胆が見え見えだった。
とりあえず目の前の二人から怖いオーラが消えたので、悠利はそっとブルックの幼馴染み二人を観察する。どちらも長身で、ブルック同様に体型はほっそりとしている。竜人種の彼らは規格外の力を持っているが、見た目であからさまに解るほど筋肉ムキムキにはならないらしい。種族特性だ。
背が高いのも種族特性なのかなぁ、と悠利はぼんやりと思う。ロザリアは女性だが、長身のアリーと変わらない背の高さを誇っている。ブルックは随分と背が高いと思っていたが、ランドールはそのブルックよりも更に背が高い。縦にだけ大きいのかな?などというちょっと失礼なことを考える悠利だった。
ロザリアもランドールも、恐らくは冒険者であるのだろう。どちらも武装をしている。ロザリアの方は胸当てや手甲などのパッと見て解る防具を身につけている。対するランドールはジャケットや手袋というそこまでガチガチの防具ではない。
ただし、悠利の頼れる
ブルックがそれなりに解りやすく武装をしているのは、人間に擬態するのにそれが手っ取り早いからだ。正体を隠すためには、人間達と同じ程度の防具を身につけることで揃える必要がある。もしかしたら、ロザリアの防具もそういうものかもしれないと悠利は思った。
並んでブルックと会話をしているロザリアとランドールは、正反対の印象を受ける二人だった。凜々しい女性と柔和な男性という感じで、凸凹感がある。
ロザリアは薄桃色の髪をベリーショートにしており、凜々しいその雰囲気はボーイッシュを通り越して男装の麗人のような格好良さがある。似たような雰囲気の持ち主に指導係の一人である弓使いのフラウがいるが、彼女に比べて更に女性らしさが削ぎ落とされたような雰囲気が合った。
悠利のイメージでいくと、女子校の王子様になっている運動部員という感じだった。それも、疑似恋愛の対象にされそうな、男性的に格好良い女性だ。どこぞの歌劇団の男役の皆様とかに近いかもしれない。
顔立ちも全体的にシャープで、先ほどからの会話を聞いていると口調も実に勇ましい。声も女性にしては低めで落ち着いており、会話だけを聞いていると男性と錯覚しそうになる。
しかし、だからといってそれが変とか、無理をしているという印象は受けない。あくまでも自然体でそれであり、だからこその魅力があった。強くて格好良いお姉さん、という感じで。
対してランドールは、長く伸ばした白髪を首の後ろで結わえた温厚そうな面差しをしている。全体的な雰囲気は柔和で、上品で物静かという印象を受ける。口調も丁寧で穏やかだった。外見と声音がぴったりと合っている。
過剰な武装をせずに、上着や手袋といった簡素な装いに留めているのもまた、彼の雰囲気を強調しているのだろう。身長はブルックを上回るほどだというのに、その長身からの威圧感というものは微塵も存在しなかった。むしろ奇妙な安心感がある。
竜人種という種族からイメージする戦闘に特化した印象とは、どこまでもかけ離れている。勿論、ブルックの幼馴染みであるランドールが弱いとは悠利は思わない。ただ、こうして横から見ているランドールの姿は戦闘とは縁遠く見え、木陰で読書でもしている姿が似合うなぁと思うのだ。
ちなみに両者共に外見年齢はブルック同様三十代だ。実年齢は聞いてはいけない。当人達が覚えているかどうかも怪しいし、仮に覚えていて教えられても、色々と種族差に打ちのめされそうなので聞かない方がきっと幸せだ。……何せ、この地に王国が誕生する前に、先代のダンジョンマスターをぶっ倒した方々なのだから。
そんな風に二人を観察している悠利と、相変わらず幼馴染み三人であーだこーだと話をしている姿を眺めていたウォルナデットが、あのーと声を上げた。ちなみにアリーは置物のように大人しくしていた。割り込めなかったようだ。
「ウォリーさん?」
「とりあえず、込み入った話もありそうですし、部屋に行きません?ここだと目立ちますし」
「「……あ」」
ね?と笑顔で提案するダンジョンマスター。相変わらず注目を集めまくりだったので、確かにその通りだなと一同は納得した。大きな声では出来ない諸々の説明も、誰も来ない場所でならば思う存分出来るだろうから。
そんなわけで一同は、ウォルナデットの先導で本日の宿に当たる部屋に向かうことになった。ロザリアとランドールにも異論はなかったらしく、彼らも大人しく付いてきてくれました。
思わぬ場所での再会で、どうやら今回の調査に突発的にお仲間が増えることになりました。愉快なことになりそうです。
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