マリアさんのお兄さんがやってきた
その日、
晴れ渡る空は青が無限に広がるような、雲一つない快晴だった。夏は日差しが強くて暑いのだが、今日は心地良い風も吹いており、直射日光を浴びなければそれなりに快適に過ごせる。ルークスと並んで街の中を歩きながら、悠利はご機嫌だった。
「お天気の良い日のお散歩は気持ち良いねぇ、ルーちゃん」
「キュピ-」
「日光に当たるのは健康に良いらしいよ」
「キュ?」
「スライムのルーちゃんがどうかは解らないけどね」
「キュイ!」
悠利の足下をぽよんぽよんと跳ねるルークス。実に愛らしい姿で、既に街の人々にとっては見慣れた光景なので誰も何も言わない。時々、不思議そうに、驚いたように視線を向けてくる人々がいるが、恐らくは旅人なのだろう。そういう人は旅装姿が多かった。
そんな風にのんびりと散歩を楽しんでいた悠利は、ふと、とても目立つ人影に気付いた。
目立つ理由は、何も背が高いからではない。夏の快晴という暑さ一歩手前の気候だというのに、帽子に長いマントに手袋まで装着した人物なのだ。肌の露出が極端に少なく、露わになっているのは顔ぐらいだろうか。その顔にしても、帽子の大きな鍔に隠れて影になっている。日差し対策完璧!みたいな恰好だった。
また、目立つのは服装だけではない。帽子の影になっているが、その顔は恐ろしいまでに整っていた。男性だと解るが、とても美しい。綺麗すぎて怖いなんて美貌があるんだなぁと悠利はそんなことを思った。知人に美形は多々いれど、見ているだけで怖くなるようなそら恐ろしい美形には初めてお目にかかった。
少し悠利が気になったのは、その青年が手元の紙を見ながら何かを探しているところだった。困っているように見えたのだ。
ちょっと考えてから、悠利はその青年の方へと足を向けた。【神の瞳】さんの判定も何も言ってこないし、ルークスも特に警戒はしていない。それならば、困っている人にお手伝いを申し出るのは大丈夫だろうと思ったのだ。
「あの、すみません。何かお困りですか?」
「え?」
「僕でお役に立てるかは解りませんが、お手伝いしましょうか?」
突然声をかけてきた悠利に、青年は驚いたように目を丸くした。そんな風に感情が出ると、怖いと思えるほどに美しかった顔立ちに、親しみやすい雰囲気が浮かぶ。手にしたメモと、目の前の悠利とを見比べて、青年はへにゃりと表情を緩めた。……印象が一気に変わる。
「少年、私を助けてくれるのかい?」
「助けになれるかは解りませんけど、お困りのようだったので……」
「ありがとう、ありがとう。やはり見知らぬ街はいけない。いや、見知らぬわけではないのだが、久方ぶりに訪れると随分と様相が様変わりしているようだ。目当ての場所がさっぱり解らないのだ」
「それはさぞお困りでしょうね。それで、お探しの場所はどこなんですか?」
悠利の手を掴んで流れるように喋る青年。美形は声も綺麗なんだな、と悠利は一気にまくし立ててくる青年を見ながら思った。
ただ、本当に、感情がのると全然怖くないお兄さんだった。無言無表情だと威圧すら感じるほどの、……一種人間離れしたと形容したくなる凄まじい美貌である。病的一歩手前の白磁の肌に、造作めいた完璧な配置のパーツ。声すら美しいなんて、ステータスをそちらに全振りしたのかと思うような美貌だ。
そして青年は、手袋をした手で持っていたメモを悠利に見せた。そこには、実に美しい文字でこう書いてあった。
「《
「うむ。そうなのだ。そこに妹が所属しているのだが、場所をご存じかな、少年」
「知ってるも何も、僕、そこの家事担当です」
「それは天の采配。案内して貰えるだろうか?」
「喜んで」
まさかのアジトへのお客さんだったことには驚いたが、悠利は快く案内役を引き受けた。特に用事もなくお散歩をしていただけである。困っているお兄さんをアジトまでお連れするのに否やはなかった。
悠利とルークスを案内役に、青年は《
……おかげで、その美貌に周囲がざわざわしているのだが、当人はどこまでも無頓着だった。
「ところで、妹さんというのはどなたですか?」
「うん?あぁ、私の愛しい愛しい可愛い妹は、マリアというのだよ。さぞ美しくなっているだろうねぇ」
「マリアさんのお兄さんでしたか。丁度良かったです。今日はマリアさん非番で、アジトにいますよ」
「それは本当に運が良い」
悠利の言葉に、青年はにこりと笑った。愛しい妹に会えるのが嬉しいと言いたげだった。
マリアの兄と聞いて、悠利は隣を歩く青年が美形なのも納得した。ダンピールのマリアは妖艶美女だ。愛すべき外見詐欺ではあるけれど、彼女の容姿は文句なしの妖艶美女である。その血縁と言われて納得出来るぐらいに、この青年は整った顔立ちをしていた。
「僕は悠利と言います。お名前を伺ってもよろしいですか?」
「これは、私としたことが名乗るのを忘れていた。すまない、少年。私の名前はデューク。どうぞよろしく」
「よろしくお願いします、デュークさん」
名乗る瞬間、少しだけ帽子を持ち上げてくれるところに好感が持てる悠利だった。こんな風にがちがちに日差し対策をしているのは、きっと何らかの理由があるのだろう。それでも、きちんと顔が見えるようにしてくれたところに、相手の人柄が滲み出ている気がした。
そうして二人と一匹でアジトへ戻ると、突然の来訪者に仲間達がきょとんとした。リビングでのんびりとくつろいでいるところへお客人を連れてきた形になるので、なおさらだろう。
「ユーリ、誰だ?」
「お客さんです。マリアさんのお兄さんだそうですよ」
「マリアの兄?」
「はい」
訝しげな顔をしたアリーに、悠利はさっくりと説明をする。端的な説明に、悠利の後ろに控えていたデュークはぺこりと頭を下げた。そして、室内に日差しが入ってこないのを確認してから、帽子を脱いだ。
「お初にお目にかかります。マリアの兄でデュークと言います。妹が、いつもお世話になっております」
「あぁ、丁寧にどうも。このクランのリーダーを務めているアリーです。……誰かマリアを呼んでこい」
「はーい!」
アリーの指令に、素早く反応したのはレレイだった。身のこなしの軽いお嬢さんは、呼んでくるねー!と笑顔で駆けていった。アジトの中で走るな!というお説教が飛ぶが、あんまり聞いていなかった。安定のレレイ。
アリーと挨拶を交わしたデュークを、皆がじっと見ている。見られていることに気付いたらしいデュークは、にこりと微笑んだ。黙っていると恐ろしくすら見える美貌が、親愛の情を込めた笑みを向けてくる破壊力は、凄まじい。何だこの美形、と皆が思った。
抜けるように白い肌に、肩を越すぐらいの長さの銀髪。濃い灰色の瞳はマリアのそれと似た色合いだ。すっと通った鼻梁に、白い肌に映える紅い唇。銀髪の隙間から見える耳は、細く尖っていた。ただ、森の民が横向きに長いのに対して、こちらは縦に長い耳をしている。
その耳を見て、アリーは静かに呟いた。
「なるほど。大勢いる兄貴の中の、ヴァンパイアの兄が貴殿か」
「おや、マリアが私の話をしておりましたか?嬉しいことです」
「異母兄弟が山ほどいるってのは聞いてる。ダンピールも、ヴァンパイアもいるともな」
「えぇ、我が兄弟は多いもので。一応私が長兄になります」
「…………なるほど」
にこやかに微笑むデュークに、アリーはぼそりと「年齢三桁の兄貴か」と呟いた。悠利はぎょっとして隣のデュークを見上げる。見惚れるほどの美貌のこの青年は、どう見繕っても二十代にしか見えない。それで年齢三桁とはこれいかに、である。
しかしそこで、ヴァンパイアは青年期で外見の成長が止まることを思い出した。ヴァンパイアには老人はいない。死のその瞬間まで、若く美しい姿のままなのだという。何とも幻想的な種族だ。
こちらに好意的とはいえ度を超した美形に、誰も声をかけられないでいた。そんな中、レレイに伴われてマリアがやってくる。今日もセクシーな妖艶美女のお姉様は、予想外の来客に心底驚いたという顔をしながら、口を開いた。
「お兄様、突然どうしたの?何かあったのかしら?」
「あぁ、マリア……!可愛い妹……。少し見ない間に、とてもとても美しくなったね」
「お兄様、来訪の理由は」
「本当に、あの幼かったマリアがこんなにも美しくなっているなんて……。流石は私の愛しい妹」
「お兄様、ですから、理由は」
「昔から君は愛らしかったけれど、今は愛らしさと美しさを兼ね備えているのだね。会えて嬉しいよ」
目の前に現れた妹に対して、兄は感動の嵐状態だった。作り物めいた端正な美貌、黙っていれば畏怖すら覚えそうな強烈なまでの美形が、ただの兄バカと化していた。声すら美しいのに、今は何というか、畏怖も感慨もへったくれもない。ギャップがえぐい。
何を言っても全然聞いてくれない兄を見て、マリアはにこりと微笑んだ。とても美しい微笑みだ。妹の笑顔に兄も幸せそうに笑った。美男美女の笑顔という、大変絵になる光景だった。
しかし――。
「私の話を聞いてください、お・に・い・さ・ま」
「マリア、これでは君の美しい顔が見えないのだけれど」
「話を聞いてくださいな」
マリアは容赦なくデュークの顔面を鷲掴みにした。ヴァンパイアの怪力と戦闘本能を受け継いでいるダンピールのマリアは、力持ちのお姉さんだ。
え、アレ何?と悠利は思った。ほっそり美形兄妹の感動の対面だと思っていたら、妹が兄の顔面にアイアンクローをぶちかます光景である。しかも、手に血管が浮いているので結構な力を入れていると解る。それなのにダメージを受けていないデュークが恐ろしかった。
そんな悠利の肩を、アリーがぽんと叩いた。見上げてくる悠利に向けて説明をしてくれる。
「基本的に、ヴァンパイアはダンピールの上位互換だと思っておけ。日差しの影響と繁殖力以外は、ダンピールがヴァンパイアに勝る部分はない」
「……つまり、デュークさんはあんなに細身の美形さんだって言うのに、マリアさんより強いんですか……?」
「強いかどうかは知らんが、種族的に考えたらあっちの方が強いはずだ」
「……外見詐欺なところも似てるんですね」
「外見詐欺言うな」
思わずぽろっと口にした悠利に、アリーのツッコミが飛んだ。とはいえ、否定できない部分があるのも事実だった。マリアも大概外見詐欺だが、デュークのそれは妹以上の衝撃を伴っている。
とりあえず、妹の怪力でアイアンクローを顔面にかまされても全然平気らしい兄上殿は、愛しい愛しい妹の問いかけに、やっと答えた。再会の感動からちょっと落ち着いたらしい。兄バカにも困ったものである。
「ここに来た理由は、マリアに会いに来ただけだよ」
「私に会いに?何故?」
「ばあやに、『マリアお嬢様のお顔が解る間にお会いになった方がよろしいですよ』と言われてしまった。うっかりしていたよ。少し見ない間に、本当に大きくなったね」
「……なるほど。ばあやの入れ知恵でしたか。納得しましたわぁ。お兄様が自分でそこに気付くわけがありませんし」
「……マリア、ヒドい」
「ヒドくないです」
ズバッと兄を斬り捨てるマリア。ヒドいと言いつつも、デュークは別に拗ねてもいなければ、怒ってもいなかった。可愛い妹には何を言われても気にならないのかもしれない。会えただけで嬉しいと言いたげに、にこにこしている。
そうやってマリアを前にゆるゆるの状態でいると、印象が別人通り越して別の生命体ぐらいのレベルで変わるお兄さんだった。初見の背筋が凍りそうなほどの美貌の持ち主という、ヴァンパイアという種族のイメージ通りだったところからの、急転直下だ。落下がエグい。
まぁ、ヴァンパイアが夜型なのは日差しに弱くて日焼けしないようにした結果だと学んでいる悠利達なので、多少の落差は何とか受け止めるのだけれど。それでも、作り物めいて美しい人だと畏怖すら抱いていたところへの、ただの兄バカモード。外見詐欺とかギャップが凄いとか思ったところで、誰も咎められないだろう。
そんな周囲の「何だかなぁ……」という感情を放置して、兄と妹の会話は続いていた。
「それにしてもお兄様、よく私が解りましたわねぇ」
「あぁ、それは大丈夫だ」
感心しきった様子のマリアの発言に、外野は首を傾げた。妹の顔が解らないって何だろう、と。そういえば先ほども来訪理由がそんな感じだった。
答えは、すぐに解った。
「来る前にマリアの母上の顔を見てきたのだ。母上に似てきたな、マリア」
「なるほど。納得しましたわ」
「たった十数年でここまで変わるなんて、ダンピールは凄いな……」
「お兄様、前々から言ってますけど、ヴァンパイア基準で私達を考えるのは止めてください。その基準で言うと、私達、一瞬で死にますから」
「うん、気を付ける」
十数年を「たった」と形容するのがヴァンパイアの普通らしい。確かに、外見の変化がないままに数百年単位で生きる種族なので、そうなっても仕方ないのかもしれない。
……つまりこの兄妹は、十数年ぶりに再会したということになる。その割に会話が普通なのは、どちらもそういうものだと思っているからなのだろう。
「まぁ、どんな理由であれ会いに来てくれて嬉しいです、お兄様」
「私も、美しくなった君に会えて嬉しいよ、マリア」
とりあえずはそれで落ち着いたらしい。そこからは、マリアが兄に皆を紹介するターンとなった。愛しい愛しい妹の仲間達を紹介されて、デュークはとても幸せそうだ。
本当に、ただただ妹に会うためだけに遠方からやってきたのだという。彼等の故郷は異国の辺境の地にあるらしく、デュークはそこの領主夫妻の嫡子なのだという。……まさかのマリアがお嬢様だった事実に、皆が衝撃を受けていた。
「マリアさん、領主様の娘ってことは、お嬢様だよね……?」
「別に私はお嬢様じゃないわぁ。お嬢様は基本的に、お父様と奥様の娘のことだもの」
「……?」
レレイの問い掛けに、マリアはあっさりと答える。どういう意味かよく解らなくて首を傾げるレレイに、マリアは説明を続けた。
「私はお父様の娘だけれど、お嬢様と呼べるのは奥様の娘でヴァンパイアのお姉様達なのよ。反対に、奥様の娘でもお父様の娘じゃないダンピールは私と一緒でお嬢様じゃないわねぇ」
「「はい?」」
何やら物凄い説明が飛び出した気がして、悠利達は首を盛大に傾げた。何を言われているのかよく解らなかった。
マリアとデュークが異母兄妹であるのは理解した。両親共にヴァンパイアであるデュークがヴァンパイアで、母親が人間であるマリアはダンピールだというのも理解した。そこまではとりあえず理解できたのだ。
しかし、今の口振りでは、マリアには血は繋がらない兄弟もいっぱいいることになる。どうなっているのかさっぱりだ。
答えをくれたのは、デュークだった。領主夫妻の嫡子であるヴァンパイアの青年は、皆の衝撃を更に吹っ飛ばすようなことをさらっと言ってのけた。
「父と母はとても仲が良いけれど、どちらも恋多き人なのだ。だから、愛を与える相手は他にもいるのだよ。長い歳月を共に生きるのはお互いだけれど、愛の数は一つではないらしい」
「不思議と、お父様も奥様もお互いの相手のことも大切にしてくださるから、お母様達も仲良しなのよねぇ」
「あぁ、そうだね。時折、母上の恋人と父上の恋人が結ばれることもあったし」
「それは初耳ですわぁ、お兄様」
「随分昔の話だよ」
「……お兄様の随分昔って、何年前か考えるのも面倒ですわね」
のほほんと会話をしている兄と妹には悪いが、悠利達にはちょっと理解できない世界観だった。何だそれと額を付き合わせて理解不能だとやっているのは、子供組ばかりだった。成人していてもまだ精神的には子供組に含まれるような若者達には、そんな大人の世界の事情はさっぱりだった。
逆に、ある程度世間を理解している大人組は、あまり気にしていないようだった。ところ変われば品変わる。この辺りは基本的に貴族や王族以外は一夫一妻の夫婦制度が普通だが、別の国では平民でも一夫多妻だの一妻多夫だの存在する。その辺りは文化の違いなのだ。
そんな風にわちゃわちゃしているところへ、ブルックが戻ってきた。見慣れない客人を見て首を傾げたが、マリアの兄だと説明されて納得したらしい。
「いつも妹がお世話になっております」
「別に世話をしているつもりはないが」
「もっと相手をしてくれても良いのよ~?」
「断る」
「まぁ、ヒドいわぁ」
全力で手合わせの出来る相手という意味でブルックがお気に入りのマリアは、すげなく拒否されて唇を尖らせる。そういう仕草も妖艶で美しいのがこのお姉さんの特徴だ。ブルックには微塵も利いていないが。
妹のお気に入りというブルックを、デュークは上から下までじっくりと見ていた。物色されているような気分になったのだろう。ブルックが面倒くさそうな顔でデュークを見た。
「何か?」
「あぁ、いや、申し訳ない。……どこかでお会いしたような気がしてねぇ」
「……」
どこだったっけ?とデュークは記憶を探るように考えている。ブルックは特に心当たりはなかったのか、無言である。そんな兄を小突いて、マリアが口を挟んだ。
「お兄様、それってどれぐらい前のお話で?」
「うん?少し前かなぁ?」
「……ちなみにそれ、私、生まれてました?」
「え?生まれてなかったと思う」
きょとんとする兄に、マリアは盛大にため息を吐いた。秀麗な兄の顔に手を伸ばし、耳を軽く引っ張りながら告げる。……妹が容赦がないのはどこも一緒なのかもしれない。
「マリア?」
「私が生まれていないなら、随分と昔になります。仮にその頃にブルックに会っていたとしても、子供です」
「……あ、そうか。いや、申し訳ない。誰かに似ていたのかなぁ……?」
「いや、構わない」
もう、お兄様は時間感覚がおかしいんですから、とマリアは兄にツッコミを入れている。妹のツッコミにごめんごめんと笑うデューク。仲良し兄妹の会話だった。
ブルックは何も言わずに二人の側を離れる。そんな光景を見ながら、悠利は隣に立っているアリーにぼそりと呟いた。
「……多分、どこかで会ってるんですよね?」
「多分な」
ブルックも忘れているので確証はなさそうだが、どこかで会っていてもおかしくはなかった。マリアが兄の時間感覚のバグを理解しているので事なきを得たが、正体が
むしろ、ブルックの方が寿命が長いので、デュークの幼少時ですら今の外見の可能性がある。長命種による時間バグは、人間である悠利達にはさっぱり解らない何かであった。
とはいえ、それを口にしても意味はないので、悠利もアリーもそれ以上は何も言わなかった。ブルックも大人しく沈黙を守っている。沈黙は金なり。言わぬが花。知らぬが仏。世の中はそんな感じで回るのである。
そんなこんなでやって来たお客様は、久しぶりの妹との再会を楽しむためにアジトに滞在することになるのでした。
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