隠し通路と物騒ダンジョン


「ここで行き止まりか」


 入ってきた入り口以外に扉の見当たらない室内で、アリーがぼそりと呟いた。朝食後、ダンジョンの探索を再開した一同は、幾つかの建物を通り抜けて今の場所にいる。

 最初に入った洋館のような建造物の最後の部屋。他へ繋がる扉はどこにもなく、窓も開かない。正真正銘の行き止まりという感じだった。

 これで、こちら側のルートから辿れる部分は全て探索し終えたということになるのだろう。それならば折り返し、他のチームと情報をすり合わせて地図を完成させる必要があった。


「とりあえず、ここまでの分を地図に仕上げますね」

「頼む」

「はい」


 マッピング要員として同行しているクーレッシュは、きっちり自分の仕事を果たす。道中書き込んでいたメモ帳の中身を確認しながら、テキパキと地図を描いている。細かく書き込んでいるので大変そうだが、その仕上がりは見事だ。

 周囲に魔物の気配もなく、罠も見当たらない。悠利ゆうりの護衛を自認しているルークスすら、警戒を解いていた。安全すぎる、ヘンテコなダンジョンは相変わらずだ。

 そんな中、悠利はアリーの腕を突いて小声で問いかける。小声にしたのは、一応悠利なりに空気を読んだからだ。


「アリーさん、僕、聞きたいことがあるんですけど」

「……何だ」


 並んで立ったまま、特にアリーがしゃがむこともなかったが、互いに聞こえる程度の声で会話は続けられる。皆はそれぞれに周囲を確認したりしているので、二人の会話には入ってこない。

 聞かれないようにという配慮をしながら、悠利はそれでもはっきりとその疑問を口にした。


「このダンジョン、何で(仮)って付いてるんですか?」

「…………は?」


 悠利の言葉に、アリーは間の抜けた声を上げた。言われた言葉の意味がよく解らなかったからだ。鑑定系の能力持ち二人だが、【魔眼】持ちの真贋士であるアリーより、【神の瞳】持ちの探求者である悠利の方が能力は上だ。だから、悠利の発言をアリーが疑うことはない。

 疑うことはないのだが、それでも、言われた内容に一瞬動きが止まったのも無理のないことだった。彼は別に悪くない。今の今まで、そんな情報は彼の手元になかったのだ。


「……どういうことだ?」

「……アレ?アリーさん、見えてませんでした?」

「悪いが、俺にはここは数多の歓待場としか見えていない」

「僕、その後ろに(仮)って見えるんです」

「…………マジか」

「大マジです」


 ぼそぼそと小声で言葉を交わすのは、こんな内容を皆に知られると色々と面倒くさいからだ。

 悠利の鑑定能力が並外れていて、アリーが太鼓判を押すほどに優秀だというのは周知の事実。しかし、その悠利の方がスペックでアリーを上回っているという事実は、誰にも告げていない。知られると色々と面倒くさいので。

 そもそもアリーは、【魔眼】の技能スキルをレベルMAXまで磨き上げている強者だ。隻眼になったことで半減しているが、カンストボーナスは健在で、そこらの【魔眼】持ちでは彼に叶わない。

 また、隻眼によって彼の能力が半減していることを見抜ける者も、いない。少なくともアリーが知る限り、それを見抜いたのは【神の瞳】の所持者である悠利だけだ。

 そんなわけで、アリーより悠利の方が上というのは、彼ら二人の間で隠すことと決められている秘密だった。普段の悠利が色々とやらかしても、その全てを「何かちょっと普通と違う使い方をする天然だから」で終わるので。多分これも人徳です。

 話を戻そう。

 悠利の能力が見抜いた情報が嘘偽りないことを、アリーは知っている。この世界において、【神の瞳】を欺ける情報は存在しない。その名の通り、森羅万象を見通す神々の瞳のような能力なのだから。

 つまりは、悠利の言う通りにこのダンジョンは、(仮)とかいう奇っ怪な単語がくっついた名前になっているということだ。なんてこったい。

 悠利の言葉を受けて、アリーはじっとダンジョンの壁を見た。ダンジョンの情報を確認するためだ。そこには、それまでは数多の歓待場としか出ていなかった名称部分に、(仮)というふざけた単語がくっ付いていた。悠利から情報を得たことで、彼の能力でも確認することが出来たのだ。

 これは、偽装された品を見抜くのと似ている。そうであると意識すれば、それまで気付かなかった綻びから情報を得ることが出来る感じだ。使い手の意識に影響されるとでも言うのだろうか。

 とにかく、確認してみてそれが事実だと解ったアリーは、物凄く面倒くさそうな顔で呟いた。


「何だこの名前は」

「変ですよね」

「ダンジョン自体が変だったが、この名前はふざけすぎだろ」


 何で(仮)なのか、という話である。正式名称ではないというならば、このダンジョンの本来の姿は何なのか。それらをきちんと調べないことには、調査を終了したとは言えない。

 ……つまりは、仕事が増えた。正しくは、実は本当に調べなければいけなかったことが、今やっと解ったという感じだ。


「何で今まで言わなかった」

「だって、アリーさんも知ってると思ったんですもん……」

「今度から、妙な情報を見つけたらすぐに言え」

「解りました」


 一切の悪気はなかった悠利は、素直に頷いた。アリーもそれ以上問い詰めることはしなかった。悠利は自分とアリーの能力の差を理解し切れていなかっただけだ。普段はこんなことはあまり起こらないので。

 アリーもそれは解っているので、次からはちゃんとしてくれと言うだけで終わらせた。終わらなかったのは、悠利だ。

 彼はアリーの言葉には基本的に素直に従う。時々、斜め上の方向に暴走したりするけれど、基本的には素直だ。だから今回も、実に素直に口を開いた。


「アリーさん」

「今度は何だ」

「あそこの壁の向こうに隠し通路があるんですけど、知ってます?」

「…………知らん。どこだ」

「あの燭台が並んでるところです」


 すいっと悠利が示したのは、何の変哲もない壁だった。燭台が数本壁にかかっているだけの、いたって普通の壁だ。けれどその壁の向こうに隠し通路がある。

 言われるまでは気付かなかったアリーだが、説明を受ければそこに異変を感じることは出来た。隠し扉のようなものではなく、通路の前を壁で塞いでいる感じのようだ。つまるところ、壊さなければ進めないタイプの隠し通路だ。


「……隠し通路だな」

「です」

「しかも壊すやつか」

「頑丈そうなんですよねー」


 能天気な悠利の発言に、アリーは壁の方に向かって歩く。悠利もその後を追った。コンコンと壁を叩いてみても、普通の壁。むしろ、随分と頑丈に作られている印象だ。

 少なくとも、アリーの力では壊せそうにない。


「どこかに開閉するスイッチがあるわけでもない、か」

「ないですねー。そもそも、開けるつもりがないのかもしれないです。完全封鎖って感じですし」

「が、隠し通路の奥に何かがある、と」


 真剣な顔のアリーに、悠利は自分の考えを述べた。こんな風に封鎖してまで隠したいものなど、ダンジョンにおいては一つしかない。


「十中八九、ダンジョンコアじゃないかと思うんですけど」

「だな」


 アリーも異論はなかったのか、悠利の言葉に同意した。同意したならば、次はこの壁の向こうの隠し通路に行くことだ。彼らの仕事は、このダンジョンの調査なのだから。

 とはいえ、壁は頑丈で、アリーが殴っても、武器である大剣を使っても、到底壊れそうにはない。しかし、心配はご無用だ。別にこんな場合のために同行しているわけではないが、今回は《真紅の山猫スカーレット・リンクス》きっての力自慢がいる。


「ブルック、ちょっと来てくれ」

「ん?どうした?」


 一通り周囲を見回って手持ち無沙汰になり、クーレッシュの地図作製を眺めていたブルック。アリーに呼ばれたことで彼がこちらへやってくるのだが、何かあったのかとぞろぞろ全員が移動してきた。

 これで探索は終わりだと思っていたところだったので、何か新たな異変でもあったのかと言いたげだ。その辺は察することが出来ただろうが、続いてアリーが告げた言葉は皆を少し驚かせた。


「この壁の向こうに隠し通路がある。壊してくれ」

「隠し通路?」

「え、そんなものあったの、この部屋」

「ふむ、つまりは、まだ先があるということか」

「……え、俺の仕事終わってなかったやつですか……?」


 口々に呟く一同の中で、クーレッシュだけが発言に悲哀が漂っていた。マッピングは嫌いではないけれど、お仕事終わりだと思っていたところへの追加の投入は、ちょっと勘弁してほしいやつである。誰でもそうなるだろう。

 これで終わりだと開放感に浸ろうとしていたところへの、爆弾投下。その場にしゃがみこんで、しょんぼりしているクーレッシュ。その背中を、ルークスがちょろりと伸ばした身体の一部で慰めるように撫でていた。優しい。


「クーレ、ドンマイ」

「いや、仕事だしやるけど。でも聞いてくれ、ユーリ」

「うん」

「終わると思ってたところで追加にどーんと仕事が入るのは、結構心がしんどい」

「解るよ」


 仕事量としては別に、問題はないのだ。今日はまだそんなに長く探索をしていないのだし。そういう意味では、まだまだ身体は元気だし、探索して情報をメモして地図を作れと言われても、クーレッシュに余力はある。

 単なる気持ちの問題である。それが解るので、悠利も大真面目な顔で同意した。誰だってそういう気分になるに違いない。

 若者二人がそんな風にある意味暢気な会話をしている傍らで、ブルックはコンコンと壁を叩いていた。普通の壁というか、他のものよりも頑丈に作られている壁だ。この奥に何かがあると言われても、音が響かないので解らない程度には、壁は分厚い。


「いさかか頑丈すぎるようであるが、大丈夫なのであろうか?」

「あら、貴方、あの男と一緒に戦ったことは?」

「実はそれほどないのだ。強い御仁というのは把握しているのだが」

「それなら、見ておけば良いわよぉ」


 ヤクモの疑問に、レオポルドは実に楽しそうに笑った。元パーティーメンバー故の信頼とでも言うべきか。その自信に満ちた笑みに、ヤクモは大人しく視線をブルックへと向けた。

 ブルックは何度か壁の強度を確認し、アリーにどの部分がどのぐらい隠し通路に繋がっているのかを確認している。

 それが終わると、壊す部分を定めたのかすっと身構える。両足を前後に軽く開き、拳を引く。そして、目にも止まらぬ早業で壁を殴りつけた。

 瞬間、どご!とか、ぼご!とかいう感じの擬音が響いた。もうもうと煙が立ちこめるし、壊された壁が崩れる音も続く。暢気に喋っているところに轟音が響いたものだから、悠利とクーレッシュは驚いたように身をすくませた。


「うわ!?」

「何……!?」

「キュ-」


 そんな二人と違って気配で色々察していたらしいルークスは、ちょんちょんと壁の方を見るように促す。大丈夫だよ、と言いたげな優しい目をしていた。

 果たして、彼らが視線を向けた先では、壊すのが難しそうと思っていた強度の壁が、無残にも崩れ去っていた。正確には、今現在も壊している真っ最中だった。

 最初に開けた穴では通るのに不自由があると察したのか、殴ったり剥がしたりして、ブルックは穴を広げている。割と容赦がなかった。

 恐るべきは、それを全て素手でやっているところだ。戦闘種族として名高い竜人種バハムーンの名は伊達ではないということだろう。本来ならば、武器を必要としないぐらいに彼は強いので。

 むしろ、武器を使っているのはその方が手加減が出来るからだという。刃物を扱う以上、そこに殺傷力があることを他者にも解りやすく伝えることが出来る。何でも拳で粉砕するには、彼の容姿は細マッチョだったので。


「随分と本格的な通路であるな」

「隠し通路っていうよりは、本来の通路って感じがしない?」

「俺もそう思った。隠し通路にしては幅があるし、もしかしたら元来はこれが入り口に繋がる通路だった可能性があるな」

「造り変えたってことかしらぁ?」


 感心したように通路を見ているヤクモに、レオポルドも乗っかる。アリーも口を挟み、彼らの出した結論は、この通路が本来のダンジョンのあるべき姿というものだ。

 そう思われても無理のないほどに、それはどこまでもダンジョンらしい通路だった。

 無機質な石壁で作られた、冷ややかな雰囲気を称えた通路だ。石造りのダンジョンとして考えるならば、そこまで異質でもない。他のダンジョンでも見る形状だ。

 問題は、何故こんなにもダンジョン内の形状が違うのか、ということだ。

 今まで彼らが通ってきたのは、世界各地の建造物を模した部屋だった。次から次へと様式が変わるのは、一種の迷路か何かなのかと思ったほどだ。

 尤も、迷わせるのならば同じ形状の部屋を連続させた方が確実なので、その案は早々に却下されている。むしろ、面白がって色々と配置しているという方が正しいような気がした。彼らには真偽を確かめる方法はなかったが。


「ユーリ」

「はーい」


 来いと声と仕草で呼ばれて、悠利はとととっと小走りにアリーの傍らへと移動した。ブルックが壊した壁の向こうに現れた隠し通路を、じっと見る。

 二人並んで鑑定をしているのだと理解した仲間達は、何も言わなかった。未知の領域へ足を踏み込むときは、少しでも情報が欲しい。そういう意味では、高度な鑑定能力を持つこの二人の存在はありがたかった。


「無明の採掘場……?」

「ダンジョンの名前が違いますね」


 通路を含めた新しく現れた部分を鑑定した二人は、首を傾げた。振り返って今自分達がいる場所を鑑定すれば、そこは数多の歓待場(仮)というふざけた名前のままだ。

 何故名前が違うのか。その疑問は、(仮)という単語が証明しているように彼らには思えた。本来はこの、無明の採掘場というのがこのダンジョンの名称なのだ、と。


「今度は(仮)ってのは付いてないな」

「ないですね。ってことは、こっちが本体で良いんですかね?」

「恐らくな。……この奥か。どうにも嫌な予感がするが」


 ぼそぼそと会話を交わす二人。長年の冒険者としての勘からアリーが告げた言葉に、悠利は乾いた笑いで応えた。


「アリーさん、アリーさん、ここ、真っ赤・・・です」

「…………罠があるのは俺にも解るが」

「罠がエグいです」


 僕死んじゃう、と悠利は素直に告げた。非力な一般人の悠利が飛び込んだら、一発アウトになりそうなぐらいに赤判定が出ている。【神の瞳】さんは今日も仕事が速い。

 そもそも、足の踏み場が見当たらない。あちこちに罠発動のスイッチが隠れているような感じだ。どんな罠が潜んでいるのかは詳細を確認しなければ解らないが、とりあえず、危ないことだけは理解できた。


「今までがアホみたいに難易度が低かった反動か、この奥は随分と危なそうだ」

「罠の位置は解るのか?」

「あぁ」

「そうか」


 アリーが告げた言葉に、ブルックはふむと少し考え込む。そして、何だかんだで武闘派の剣士殿はあっさりさっくり言い切った。


「なら、罠を発動させて壊して進もう」

「ヲイ」

「俺達だけならまだしも、ユーリやクーレも連れて行くなら、その方が安全だろう」


 ナニソレ、と悠利とクーレッシュは目を点にした。普通は、罠を発動させないように気をつけて移動するはずだ。それが、全部片っ端から発動させて、壊すことで安全を確保して進もうとか、色々と変である。

 しかし、変だと思っているのは若者二人だけらしい。というか、美貌のオネェが真っ先に普通の顔で言い放った。


「そうねぇ。どうせ貴方がどうにかなる罠なんてないんだろうし、サクサク壊して頂戴。あたくしもその方が楽だわ」

「お前は仕事しろ」

「薬師のあたくしに何しろって言うのよぉ」


 面倒なことはお断りよ、とオネェは今日もブレなかった。安定の強さである。

 しかし、口では何だかんだ言いつつも、悠利達の安全を確保することに異論はないらしい。手持ちの香水や薬品を確認している姿は、頼もしい。


「邪魔にならぬ程度の援護であれば、我も参加させていただこう」

「遠距離攻撃は助かる」

「動きの邪魔にならねば良いのだが」


 ぴっと特殊な作り方で出来ている札を手にしてヤクモは笑う。砕いた魔石を使っているそれは、様々な能力を付与された立派な武器だ。炎が出たり、雷が出たりする。和装のヤクモが使うと、より一層陰陽師っぽくて悠利をワクワクさせてくれるアレだ。

 そんな風に話を進める大人組の足下で、ルークスがキリッとした顔をしていた。普段は愛らしいスライムであるが、やるときはやる。悠利の護衛は任せろとでも言いたげな姿に、皆は思わず表情を綻ばせた。


「そうだな。ユーリの守りは頼むぞ、ルークス」

「キュイ!」

「罠を壊したときに破片が飛んでいくかもしれないから、そこも頼むな」

「キュピ!」


 アリーとブルックに頼まれて、ルークスは元気よく鳴いた。ぽよんと飛び跳ねて、やる気十分だ。

 ……この愛らしいスライムが、その愛らしさに見合わない凄まじいスペックを持っているのは周知の事実。だからこそ彼らは、とりあえずルークスに任せれば大丈夫だろうという雰囲気になっていた。よその人がいないので、ルークスがどれだけやっても誰も気にしないので。


「ユーリ、お前も罠の確認は頼むぞ」

「はーい」

「どこにあるか教えてくれたら、あたくしが発動させるわね」

「え?」

「投擲は得意なの」


 ぱちんとウインクをしてくる美貌のオネェに、悠利は瞬きを繰り返した。悠利が知っているレオポルドの戦闘スタイルは、香水を用いての格闘だけだ。それも、相手の力をいなしてという印象しかない。なので、何で投擲が出てきたのか解らなかったのだ。

 そんな悠利に、レオポルドは手持ちの薬瓶などを見せた。コレを投げるのよ、とオネェさんは麗しの美貌で言い放った。中身は結構物騒だった。


「ほら、あの男が戦ってる場所に、至近距離で割り込めるわけないでしょ?必然的に、遠くから投げるのが得意になったのよぉ」

「あー、なるほどー」

「まぁ、大抵は一人でどうにかしちゃうんだけど」

「しそうですね」


 ブルックが何者かを知っている悠利には、レオポルドが言いたいことはよく解った。最終兵器レベルで強いので、よほど面倒くさい相手でない限り力で粉砕出来るのだ。

 ちなみにこの場合の面倒くさいは、物理攻撃が効かないとかそういう感じのやつである。そういうときには、相手の弱点を見抜くアリーの鑑定能力が光り、効果のある薬品をぶん投げるレオポルドの投擲能力が光るらしい。何だかんだで良い組み合わせである。


「それじゃ、無明の採掘場の探索に入るぞ。各自、気をつけるように」

「「了解」」


 アリーの言葉に、皆は異口同音に答えた。

 この先は、今までのようなふわふわ安全ダンジョンとは違う。魔物も出てくるだろう。罠がエグいのならば、出てくる魔物もエグいに違いない。気を引き締めなければと思う悠利だった。




 斯くして、お仕事を果たすために、悠利達は罠満載っぽい物騒ダンジョンへと足を踏み入れるのだった。




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